ロバート・スミスと3時間
ザ・キュアーは21:40に始まり0:25ころに終わった。約3時間。ニール・ヤングもそれくらいやったはずだけど、全36曲はおそらくフジロック最高曲数だったのではないだろうか。少なくともグリーンステージでは最高だろう。これはナパーム・デスみたいなバンドが出ない限り破られることはないだろう。これだけのライヴを特に休憩もなく淡々と演奏していったバックバンドもすごい。もちろん、バンドにやらせてしまうロバート・スミスもすごい。ちょっと調べると、直近のライヴでは、コロンビアで42曲、メキシコで50曲、韓国で36曲。こうした長時間のライヴは慣れているのだろうけど。
雨上がりでひんやりとしたグリーンステージ。まだバンドが登場しない時点で、夜空を見上げると雲間から星がみえる。先ほどの豪雨でPAブース横辺りは泥田のようで誰も足を踏み入れたくないゾーンになっていた。PAブース後ろあたりは完全に椅子に座ってマッタリと観るゾーンで、キャンプ用の椅子に腰掛けている人の多くは3日間の疲れが溜まっているようだ。
ステージはスモークが焚かれ、まずはバンドのメンバーが登場。下手からギターのリーヴス・ガブレルス、ベースのサイモン・ギャラップ、キーボードのロジャー・オドネルと並び、あとドラムスのジェイソン・クーパーという布陣である。そしてあとからリード・ヴォーカル&ギターのロバート・スミスが現れ「プレインソング」から始まる。代表曲に関しては大きく印象を裏切るようなアレンジの変更もない。「イン・ビトゥイーン・デイズ」「ジャスト・ライク・ヘヴン」などでは、お客さんの反応もよく、イントロ聴いてステージ前に駆けつける人もいる。
スクリーンに大写しになるロバート・スミスは白塗りで「こういうおばさんいるよね」っていう感じで少々怖い。そうした風貌から「フライデー・アイム・イン・ラヴ」のような珠玉のポップソングができるのだからすごい。たくさんのギターを持ち替え黙々とギター弾くリーヴスなどのバックに支えられ熟練というか安定した味を感じさせる。
ただ正直、曲を絞って1時間半くらいにすれば、もう少し印象が変わるんだろうなと思った。もしくは23時ころから奥地のトリが終わり続々と帰るお客さんたちが通路を歩いてゲートもしくはオアシスエリア目指していたのだけど、そのタイミングで足を止めてくれるような曲をやってれば、もっと盛り上がったのにとも思った。最終的にはホワイトステージのThe XXが終わったあたりでお客さんが流れこんできてそれなりに埋まったけれども。
日付が変わったころアンコールに突入していて、そこからがエンジンがかかり「ホット、ホット、ホット!!!」「レッツ・ゴー・トゥ・ベッド」「ホワイ・キャント・アイ・ビー・ユー?」「ボーイズ・ドント・クライ」あたりが今日のクライマックスだろう。0時過ぎてからクライマックスというのもすごい。ラストは「キリング・アン・アラブ」だった。結局、ロバート・スミスの存在感を思い知らされる3時間だった。世界各地でこのようなライヴができる男、巨大な才能と異物感を放出して止まないこの男に付き合ってしまった3時間だったのだ。
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