Nabowa
4人それぞれの個性を色濃く出しながら、糸を編むように音と音を紡ぐ
ナボワって、こんなに4人それぞれの色が濃く、感情をそのまま音に乗せて露にするようなバンドだっただろうか?以前までの…というより勝手にそう思い込んでいただけなのかもしれないが、いい意味で、心地良い柔らかさのある音を奏でる、という彼らに対するイメージを覆してくれた。
彼らは2013年に一時ナボワとしての活動を休止。ギターの景山 奏はソロ・プロジェクトとしてザ・ベッド・ルーム・テープを、ドラムの川上 優、ベースの堀川 達のリズム隊の2人はワンダー・ヘッズというユニットを始動。そして、バイリンの山本 啓は、さまざまな作品やライブに参加と、それぞれが個々に活動をおこなっていた。が、2014年にバンド結成から10周年を迎えるにあたって、再度、メンバー4人が集結。それもあって個々の個性が高められ、先に述べたようなことを実感したのかもしれない。
今年登場したステージは、3年前に登場した前回(フジロック2回目の出演時)と同じく、フィールドオブへブン。そして、またしても、朝1番手での登場である。初っぱな鳴らされたのは、6月にリリースした4thアルバム『4』の1曲目”白む海、還る霧”。かんかん照りの中、景山の歪んだギターで幕を開け、そして、山本のバイオリンの音がリードを取り始めると、朝から集まった大勢の観客の周りを囲うように、ブワッと一気に壮大なメロディが広がっていく。続くアップテンポの”ナイスパレード”では、そのタイトルにふさわしく、バンドアンサンブルを見せてくれた。
彼らって、メンバーそれぞれ定位置に付いた後は、なるべくそこから動いたりすることはない。ステージパフォーマンスとしてはどちらかといえば、“静”ではあるのだけど、そことは裏腹に厚めのグルーヴを見せてくれるのがまた良い。個性が強くとも、音と音をどこか糸でも編むように、またはほどくように、上手く交差していく感じがやはり強みだ。中盤ではそれぞれソロを見せていく楽曲や、ギターロックの要素があるものを演奏。MCと言うMCはほとんどないけれど、その音でもって、観客をどんどん自分たちの世界に引っ張っていくような感じはさすがであった。とても潔い。終盤にかけては、15分以上に及ぶ”cal lon/pulse/aurelia”を。人間味のある荒さも混じりつつ、ループ感から生じる、会場の観客の高揚感や興奮を最大限に引き上げたまま、最後を締めくくってくれた。
posted on 2014.7.25 11:30
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