Creepy Nuts (R-指定 & DJ 松永)
合法的なトび方を心得よ!
今回のルーキー・ア・ゴーゴーではバンド形態・複数人の出演が続くなか、2人と少数精鋭。音楽のジャンルもヒップ・ホップと、異色な存在感を放つはCreepy NutsことR指定とDJ松永だ。
リハーサルを少し早目に終え、ステージ上に居残る2人。ウォーミングアップと言わんばかりに、自己紹介。そして「DJ松永、24歳、童貞」という、ターンテーブルから流れる無機質な声に合わせて「童貞」という部分のコール&レスポンス。先程まで会場全体を包んでいた彼らの事を物珍しい、自分とは違う存在の何かを見つめる厳しい視線やピリッとした空気は一掃され、その代わりとして「童貞」という魔法の言葉を楽しそうに大声で叫ぶ駄目な大人たちの集まる空間へと切り替わる。
「カニエ・ウエストの出演キャンセルの代わりで来ました。」「音楽があれば、お酒が無くてもハイになれるよな?」と笑いを取り、煽り、そこから、自分たちのことを知らない人に向けての自己紹介。これが素晴らしい。ヒップ・ホップというジャンルの中では定番かつ出来て当然なのかもしれないが、会場にいるお客さんからお題を貰い、に刻まれたサウンドに合わせて、フリースタイルでラップを披露するのだと言う。
「ルーキー!」「うーん、そのお題今はお休み!」「ロックミュージック!」「これヒップホップです~」芸人顔負けの掛け合いが終わり、お題は動物の「猿」に。
「DJ猿」「見ざる聞かざる言わざる」「猿も木から落ちる」その3つのキーワードを中心に、言葉を巧みに操り、韻を踏み、突然与えられたお題でも瞬時に対応し、約3分間の自己紹介ラップを披露したR指定。会場から思わず声が上がり、沸き起こる拍手。クラブで培ったのであろうその力は、流石であった。
その後のDJ松永のターンテーブルさばきも目を見張るものがあった。次々とレコードを回し、徐々に変化してく曲調。忙しく動く針先と指先に合わせ、加速していく重低音が気持ち良い。その姿はまるで何かのパフォーマンスを見ているかのようであり、かなりのリズム感と音楽センスが無ければ熟せないということが十二分に分かる。
「合法的なトび方、知ってるか?」「トレンチコート・マフィア。俺らみたいに勉強もスポーツも出来ない、イケてない奴の歌!」
ラスト2曲。序盤はルーキーの中でも一味違うかのように思えた彼らであったが、気が付けば会場の後ろの方までその軽やかな言葉とリズムにノり、体を動かし、高く掲げた手を左右に振り、漂うムーディーな雰囲気に。どんな音を鳴らそうとも、音楽に隔たりはないのだ。
会場をクラブに仕立て上げ、オーディエンスを味方につけたCreepy Nuts。次回は、ホームであるクラブで。もしくは、来年のフジロックで更に磨き上げられた技術を見てみたい。
posted on 2014.7.26 02:00
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