初日のドラゴンドラの頂上、DAY DREAMINGは青空冴え渡るピーカン晴れ。文字通り夢のような場所である。このステージに、ラジオ体操をSEに定刻よりも少し遅れて、DJみそしるとMCごはんが登場。ふたり組ユニットと勘違いされがちだが、写真を見てのとおりソロアーティストである。

「フジロックで自己紹介するのが夢だった」という言葉とともに始まった挨拶代わりのラップで、この日のステージは幕を明けた。彼女が“夢”といったことには理由がある。DJみそしるとMCごはんは昨年このステージに登場するはずだった。けれども急な雷雨の影響で突然中止となり、今年は1年越しの想いが叶っての出演なのだ。今日は昨年の分まで晴れてくれたような天気で、1年前に頂上に行ったのに観られなかった私は自分のことのように嬉しくなってしまった。

冒頭に歌った自己紹介ソングにもあるとおり、彼女の楽曲のほとんどが“料理のハウツー”がテーマ。、“スクランブルエッグ”“ピーマン肉詰め”など、料理レシピがテーマのHIPHOPが続く。字余り字足らずで脱力系の歌詞･･･。“ヘタウマ”と言われることも多いが、その塩加減が絶妙なのが彼女のすごいところ。個人的な考えだが、料理はレシピどおりに作る必要はなく、押さえるポイントだけ外さなければ何をしたって良い。そこは音楽にも通じているなと･･･。そしてDJみそしるとMCごはんは、音楽面でもレシピの内容面でもそれを押さえていると思った。

ライヴも中盤に入り、ステージ上に運ばれたのが、風呂敷に包まれた四角い箱。現在、彼女はNHKで冠番組『ごちそんぐDJ』をもっているのだが（ちなみに放送時間は不定期のゲリラ番組）、7月から新たに「から揚げ」「アイスクリーム」「きょうの冷蔵庫～アドリブクッキング～」の3本が新たに公開された。その四角い箱は、このアイスクリームの素でなんとライヴ中に作るという。「牛乳・砂糖・卵をいれて、それを氷で包んでシャカシャカするとシャバダバします。シャバダバしたやつがアイスクリームになります。」と説明し、「歌に専念するので」と、その風呂敷は観客たちに委ねられる。

から揚げやPizzaなど、これもまた料理レシピを題材にした楽曲が続き、その間、アイスの素が入った風呂敷がリレー形式で観客にまわされる。それをみんな大事そうに、かつ思いっきり振り始めてから6曲目。完成までのラストナンバー“ぶり大根”で80年代ディスコ・テイストの楽曲を披露。盛り上がったところでアイスクリームが完成！　そのアイスクリームは観客に振舞われ、数個のカップに入ったアイスクリームを一口ずつ、これもまたリレー形式で食べていった。ライヴはアーティストと観客で作るものとよくいわれるが、この日のステージは物質的な意味も込めてアーティストと観客が作ったライヴとなった。

後ほどライヴ後のインタビューも掲載予定なのでお楽しみに！