片想い
片想いンダフジローーーック!!
14時20分、出演時間定刻。木道亭は、間もなく始まる片想いを待つ人で通路はもちろん通路の下も人で埋め尽くされていた。ステージ裏からメンバーの気合をいれる掛け声が届き、会場のワクワク感を掻き立てる。issy(キーボード)の「エビバディセイ・ヤッホー、セイ・ヤマー」のコール&レスポンスでこの日のステージは幕を明けた。
山に住む神様のぼやきが歌われる“山の方から来てくれればいいのに”が、この日の1曲目。森林の中の非現実的空間であるフジロックにふさわしい選曲だ。ファンキーなダンス・ナンバー“tristeza de carnaval”では、片岡(ヴォーカル&三線)の華麗なステップとムーンウォークが炸裂、からのオラリー(ヴォーカル)「今年の夏は頂きました。片想いンダフジローーーック!!」の言葉で会場を早くも大きく沸かせる。“君の窓”“すべてを”とミディアム・ナンバーでは会場をゆったりを揺らした。パーティー・バンドという面が表に出ているバンドではあるが、そのメロディは繊細で叙情的でほろっとさせてしまうのだ。
「こんな神話を知っていますか?フジロックは片想いがでると雨が降らないんです。今のところ100%、2回ともね(笑)」と片岡シン(ヴォーカル&三線)。そう、彼らは2年前のフジロックで、レディオヘッドがグリーンステージの大トリを務める裏にあたる時間帯で、苗場食堂でのステージを見事大団円へと導いたのだ。このバンド、苗場食堂や木道亭みたいにロケーション評価の高いステージで本当に映える。
続いての“いとしいな”は、スティーヴィー・ワンダーの名曲“ Isn’t She Lovely”に日本語をつけてのカヴァー。「いとしいな 好きになったから うれしいな 好きになったから」。聴き馴染んでいるメロディーに、そのド直球な詞がそれはもうグッとくる。さらに同曲中に片岡がメンバー紹介をする間、このフレーズを他のメンバーがメイン・ヴォーカルをリレーする。この曲に限らず、彼らのステージは片岡以外もメインボーカルをとったり、各々の見せ場がふんだんに盛り込まれている。フロントマンだけではなく、メンバー一人ひとりにスポットライトが当たり、個々の魅力を充分発揮できるところが、私が彼らを愛おしく思う理由のひとつなのだ。
そして7′singleとしてもリリースされた“踊る理由”、井出リョウの楽曲「棒切れなどふりまわしてもしかたのないことでしょう」を披露。マーチのリズムにあわせ、タイトルどおり足元に落ちている棒やタオルを振り回して盛り上がる。この曲でも再び片岡からのメンバー紹介。「出発前から乳首をビンビンにたたせて参りました。ドラムス、あだち麗三郎」、「昨日(出演した)鳥羽一郎で感涙の涙をながしたベース、伴瀬朝彦」「今日のコール&レスポンスがとにかく不安で全員ナーバスになっていました。キーボード、issy」、「今日完全にナンパされに来てるんで落としやすいですよ(笑)。サックス、遠藤里美」「これからはビックオラリーとして、太ってやると言っていました。ヴォーカル、オラリー。」、「今ギターを持っている男、昨日深夜まで帰ってこないで一番楽しんでいました。MC.sirafu」。そして最後の大河原明子(ホルン)を、片岡が紹介し忘れるハプニングもあり(笑)、大河原自身が鹿児島から来たということを話し急遽自己紹介に。
ファンファーレが鳴り響き、ラストは彼らの決意表明ともとれる楽曲“管によせて”。オリジナル音源で彼らがリスペクトするアーティストの名が連ねられる部分は、今日だけのフジロック仕様。「オーリトーリ・電気グルーヴ、オーリトーリ・アーケード・ファイア、オーリトーリ・フレーミング・リップス」など、フジロックに出演するビッグネームを次々に叫ぶ。しかし、「オーリトーリ・鳥羽一郎」が複数回混ざり、その度に観客の笑いを誘っていた。
ここで幕を閉じるはずなのだが、この場所、この時間帯でまさかのアンコール。「暇だからいるんだろ!」と言いながらも、なんだかんだ嬉しそうにメンバーが再登場!本当のラストとなった「踊れ!洗濯機」では、所属レーベルの角張社長が裏からステージを突っ切って観客にダイブ!片岡は木に登り、大変な盛り上がりを観せ二度目のフジロックの幕を閉じた。
セットリスト
1.山の方から来てくれればいいのに
2.tristeza de carnaval
3.Daily Disco
4.君の窓
5.すべてを
6.いとしいな
7.踊る理由
8.棒切れなどふりまわしてもしかたのないことでしょう
9.管によせて
ec.踊れ!洗濯機
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