溺れたエビの検死報告書 (selected by ROOKIE A GO-GO)
深海のエビたちによる新しいアートフォームの提示
今年のフジロックもいよいよ終焉に近づいている。最終日の深夜という時間帯になってくると、どうしてもおセンチな気分になってしまう。レッド・マーキー深夜の部、SUNDAY SESSIONにこれから登場するのは、昨年のROOKIE A GO-GOステージに出演し(昨年のレポートはこちらをどうぞ)、人気投票の結果堂々の第一位に輝いた、溺れたエビの検死報告書だ。夜中2時を回るという良い子はとうに寝ている時間帯にもかかわらず、噂のエビ集団を一目観ようと会場には多くの人が押しかけていた。
開演予定時刻が近づくと、フロアから「エビ!エビ!!」コールが沸き起こる。会場がフッと暗転し暗闇の中、頭がエビ、体は人間という姿形のものがわらわらと不気味にステージに走り出てきた。歪んだベース音がかき鳴らされるのを皮切りに、一斉に音が出力される。と同時にステージに照明が入り、蛍光色の衣服をまとったド派手なエビたちの全容が現れた。
しばらくするとエビたちの目が一斉に緑に点灯し(あるエビは左右の目の色が違ったそうな)、サイケに飾り立てられた杖を手にした【溺れたエビの長(ヲサ)】は、指揮者がタクトを操るがごとくエビたちの音をダンスを、パフォーマンスを総合的に導いていく。エビたちが奏でる音は、ぶっといビートと重厚なブラス隊によるファンクネスに根差しつつも、多種多様な音を散りばめながら独特のグルーヴ感を醸成していく。奇妙な音運びながら、ついつい体が動いてしまうそのグルーヴ感。エビたちはステージを縦横無尽に駆け巡り、ビートに合わせてピョンピョン飛び跳ねまくって、盛り上げ仕掛け満載でフロアのオーディエンスをガンガンに踊らせるのだ。
エビたちのパフォーマンスと、ステージ構成力は圧巻の一言だ!まさしくエビのごとく、随所でピクピクと小刻みに動く頭。水中あるいは海中がテーマとなっているというステージの中、自在にうごめくエビたちにスポット的に当て、不気味さを一層際立たせる照明の使い方。そして、かっぱえびせんのパックを振る舞うパフォーマンスに、オーディエンスを巻き込む生贄ワシャワシャ儀式と、コミカルさも随所に放り込んで来る、実ににくい演出で魅せてくれる。そのすべてが音を核として創り上げられた、摩訶不思議なエビ唯一無二の世界観だ。
“D-Shrimp Carnival”の後、鳴りやまない拍手喝采に2曲のアンコールを披露する。本セットのラストで、エビの長がベースをかき鳴らし、他のエビ全匹がステージ前にでて来て、そのリズムに合わせて小躍りをする。エビたちは順にステージを後にし、最後にエビの長も丁寧にお辞儀をして退場。会場に圧倒的なインパクトと余韻を残し、本セットを締めくくった。
エビたちのステージが終わった後も、しばらくの間オーディエンスは会場に残って更なるアンコールを求め、拍手喝采を送り続ける。この異様なまでの盛り上がりに続くギャズ・メイオールは、このエビたちの再登場を促すコール&レスポンスを披露した後(結局、エビたちが再びステージに登場することはなかった)、必殺のセレクトで今年のフジロックのラストへ向けてガンガンに熱を高めていくのだった。
-Setlist-
アルテミア・ノープリウスが泳いでいる。
ワシャワシャ!! グギャギャギャギャ!!!
イソギンチャクの上で踊れ!
アノマロカリス
D-Shrimp Carnival
Psychedelic Under Water(アンコール#1)
ツッタタ ツッタッタ! ビヨ~ン!(アンコール#2)
posted on 2014.7.28 02:45
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