WHITE LUNG
フジロックの求める音とは
炎天下の昼下がり、ここホワイト・ステージにザ・スターベムズに続いて登場するのは今回が初来日となる、カナダはバンクーバーからのラウドなパンク・ロックンロール・バンド、ホワイト・ラングだ。
ピンクがかったシルバーヘアがまぶしいボーカルのミッシュ・ウェイが、セクシーなシースルーのワンピースという出で立ちで登場した。「ここに来れて嬉しいわ。サンキュー!」と挨拶し、つい先日リリースされたばかりの新作『Deep Fantasy』からのリードトラックの”Drown With the Monster”から本ステージの幕が上がった。かなりの酷暑の中、のっけから楽器をかき鳴らすバンドに、あらん限りにシャウトするミッシュ。ステージすぐ前の一帯は盛り上がりを見せているものの、ほとんどが突っ立って観ているオーディエンスの反応に「もっと声を出せるでしょ!?日本はもっとラウドに騒げるって知ってるんだから!」と不満をあらわにする。
ベースがバリバリと鳴り響く”Face Down”へとなだれ込み、その後も立て続けに十八番の疾走パンクチューンを繰り出し、オーディエンスを懸命に駆り立ててはいるものの、依然としてステージ前方の一部でモッシュやクラウドサーフが起こるのみ。会場の空気を変え、オーディエンスひとつにすることができていないのだ。結局、その会場のムードはラストの”Take the Mirror”まで続き、皮肉めいた感謝を言わざるを得ない状態のまま、本ステージの幕が降りた。
確かに、ミッシュとバンドは、持てる力を出し切っていたし、この手の音のファンには間違いなく刺さったと思う。だが、日頃様々なジャンルの音に触れている雑食性の高いフジロッカーには、もう少しバラエティさが必要なのかもしれない。今回のステージを観て、音に裏打ちされた熱いパンク魂が感じられたので、再び苗場に帰還しリベンジしてくれることを心から期待している。
posted on 2014.7.26 13:10
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