PHONO TONES
モーニング・ブリーズ
「おはようございます!」と、まだみんながオアシス・エリアで朝ごはんを食べている10時台、本日のレッド・マーキーの一番手、PHONO TONESが勢いよくステージに登場してきた。猪股ヨウスケ(B)と宮下広輔(ペダルスチール)は、フォークロアなカラフルなとんがり帽まで被って、このバンドとして初めてのフジロックを楽しんでいる様子。
しかし!ひとたび演奏が始まると朝っぱらから、よくぞここまでテンションの高いアンサンブルを構築できるなと驚く集中力。まず何と言っても伊地知潔(Dr)のドラミングのタイトさが半端ない。知らない人はいないと思うが、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのメンバーとしては、昨日のGotch同様、何度もフジロックに出演している彼である。もちろん、おのおののバンドの力量で勝負しなければいけないわけで、00年代日本のロックシーンの代表格になり、今はある種、安定感さえあるアジカンから、こうしてメンバーの活動が派生していくなんて、数年前には想像できただろうか。少し感慨深い。
話が逸れた。朝ごはんの次はさっそくビール片手にレッド・マーキーになだれ込んできたオーディエンスはPHONO TONESを初見の人も多そう。今日はサポートのギターがいない正味4人のPHONO TONES。その分、メロディを担う宮下のペダルスチールと飯塚純のエレピが、イマジネーションの豊かさを問われている感じだが、苗場の山々に吹く風といった趣きで、なんとも心地よく音そのものがモーニング・ブリーズだ。場の空気と融け合うようにオープナーの”At the break of dawn”でいろんなタイプのオーディエンスが馴染んできた。
いわゆるインスト・ジャムバンドよりはメインリフが覚えやすく、ロックバンドを普段聴いている人にも、タイトで低音もガッツリ出るタイプのビートは踊りやすいのだろう。自由に身体を揺らす人、自然に沸き起こるハンドクラップで、バンドにもエネルギー・チャージされていくのが手に取るようにわかる。自然発生的な盛り上がりに、普段、割とシニカルな猪股も「フジローック!」なんて叫んでいる。
ファンにはお馴染み、キャッチーなエレピのメインリフに思わず足も軽くなる”Saturday 少林 fever”、グリーンのライティングが森っぽさ満点(実際、森の中なのだが)な演出で演奏される変拍子とループするエレピ、軽快にその上を滑っていくようなペダルスチールが気持ちいい”Imaginary Line”、シャッフルのビートとポップなペダルスチールのメロディに、インストバンドであることを忘れそうな”Her red bicycle”と、続々レッドに集まってくるフジロッカーズの腰を揺らしていく。
「朝からありがとうございます。めっちゃ嬉しいです!」と感謝を述べる伊地知は満面の笑顔。歴戦の強者にとっても、1からまた構築したバンドでフジロックに出演することはやはり感慨深いに違いない。そのいい緊張感のせいか、楽しさの中にも楽器一つひとつが担うエネルギーが充満。フジロック初出演バンドにはマジックが起こることが、またひとつ証明された感じだ。抜き差しのスリルと音で会話するような親近感、それらを束ねる屈強なビート。アジカンを意識するなっていうのは土台無理!今日のPHONO TONESのダイナモはやはり潔さん、あなたの怒涛のドラミングでしたから!
Setlist
1. At the break of dawn
2. Saturday 少林 fever
3. Imaginary line
4. Her red bicycle
5. 横須賀 heartbreak berserker
6. The world is yours
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posted on 2014.7.27 10:20
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