RIDDIMATES
すべてを喜びに変えて駆け抜けたステージ
3日目の苗場食堂。ブラスロッカーズ・サウンドを掲げるリディメイツを観るべく、23時の定刻前に到着したものの、他出演者含め、すでに全体的に押し気味だったようで、まだまだセッティング中…という状態が続く。でも、何だろう…だからといって、その場を離れる観客は少なく、時間が経つにつれ、どこか期待が高まっていく気配すら感じられる。これまで『朝霧JAM』など、様々なフェスへの出演を重ねた上で、リディメイツとしてここフジロックに初出演となる彼ら(個々の活動としては、リーダー/テナーサックスのCrossYouがレゲレーション・インデペンダンスでクリスタルパレスに出演するなど、フジロックとは縁がある)。だから、何か集大成を見せてくれるだろう、もしくは何か高ぶるものを見せてくれるだろう、という思いがあるともいえるような…始まる前からそんな良い雰囲気の時間が流れていた。
そうこうしているうちに15分ほど過ぎただろうか。ようやく”B.B.M.O”でスタートを切る。CrossYouは、ちょうど苗場食堂の裏側にあたるオアシスエリアから演奏を始めるというパフォーマンスも。そこから”oneness”、”Kazaana Song”と、ステージギリギリまで乗り出し、メンバー同士でのスリリングな掛け合いを見せながら、初盤から登り詰めていく音楽の喜びを存分に教えてくれる。メンバーそれぞれスカ、ラテン、レゲエ、アフロ・ミュージック、ファンク、ジャズなど、もちろん、ルーツは様々だろうとは思うが、リディメイツに限っては小難しい知識は一切いらない。ある種、ダンス・ミュージックとでもいえるだろうか、そのサウンドに、そのメロディに、ただ身を委ねているだけで、ゾクゾクッと高揚感をもらえるのだ。だから、聴いていると、頭の中までスッキリしてくるし、「あぁ、このままずっと身体を揺らしていたいなぁ」という気持ちだけが巡ってくる。オーディエンスも、自由にステップを踏んだり、手を上げたり…ある人はひまわりを片手に持ちながらリズムに乗ったり、とてもシンプルに音楽を楽しんでいるように思えた。
「苗場食堂のみなさん、ワールドレストラン、そして、オアシスのみなさん、米粒残さないでください!ラヴ&米粒残さない、リディメイツです」。そんなMCの後は、4月にリリースされたアルバム『JOY』から、ダンス・チューンの”HOT SONG”と、アフロ・ビートの”FRONTIER”を。どこかで一息付けるようなナンバーを持ってくるかと思いきや、そんなことはなく、バンド感溢れるパワフルなグルーヴを表出させていく。いや、むしろ、先程より、より濃い熱量を放出しているかもしれない…。tofubeatsのカバー曲”朝が来るまで終わる事の無いダンスを”では、イントロから歓声が湧き、ザ・ビーチズのボーカル&ギターでもあるヒサシtheKIDが登場(直前までオーディエンスに混じって前方で踊っていたような…?)。〈朝が来るまで終わる事の無いダンスを〉という詞が今の状況とリンクし、ガッチリ観客と共鳴し合っていく様は若干ニヤけてしまうほど心が踊ってしまう。
そして、「怒りも悲しみも、楽しみも喜びに変えて」というMCを挟み、”Twi-titi”へ。爽やかな風が吹き抜けていくようなこの曲を聴いていると、苗場食堂のあの空間がどこまでも解放的な場所のように思えてくる。心地良すぎて、このバンドの存在を、もう声を大にして叫びたくなるくらいの気持ちにさせられてしまった。いや、これは大げさでもなんでもなく。実際に観るまでは、正直、初観には少し手が届かないような気がする…というイメージもあったのだけれど、そんな懸念はすぐに吹っ飛んだぐらいなのだから。いろんな音楽要素を取り入れながらも、驚くほど華があるというか、一度聴くとすぐ耳に馴染むように楽曲に落とし込んでいるのが素晴らしいなと思えてならなかった。ラストナンバーとしては、”NEW YARDSTICKを”。曲中、メンバー1人ずつソロでも魅せながら、本当に最後の最後まで全速力で突っ走ってくれたリディメイツ。締めくくりの言葉としては「次はもっと上で会いましょう」と。さて、今度はフジロックのどのステージで出会えるだろうか。とても待ち遠しい。
posted on 2014.7.27 23:00
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