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7/27 SUN苗場食堂

blues.the-butcher-590213 with 佐藤タイジ

グリーンステージのヘッドライナーが終演しても、まだ聴き足りない、見足りない、飲み足りない、踊り足りないフジロッカーズが、三々五々、集合する、苗場食堂の大トリの時間帯。最終日はblues.the-butcher-590213の登場だ。永井ホトケ隆(Vo、G)と沼澤尚(Dr)がメンバーだった、ザ・ブルーズパワーの今は亡き浅野祥之氏のブルーズへの強い意志を引き継ぐべく、と資料にはある。そこに中條卓(B)とブルースハープのKOTEZを加えて’07年に結成。おのおのの活動は知っていたが、この綿々でバンドをやっているとは、恥ずかしながら知らなかった。

ブルーズの名曲って、曲は聴いたことはあるものの、タイトルまでは把握していない場合が個人的には多いのだが、苗場食堂に集まった意外に若いお客さんは、永井がイントロのリフを弾いただけで歓声を上げたり、場合によってはサビの歌詞を一緒に歌えるほど。特に男性は、この歴戦の強者たちの演奏を至近距離、しかもフジロックという場で楽しめることが、さらに熱気を増大させている様子。でも、もちろん曲名や歌詞まではわからなくとも、まず音の存在感がすごい。この3日間、さまざまなステージで趣向を凝らしたライブを見せてきたが、苗場食堂という、なんのギミックもない、とにかくミュージシャンの実力というか演奏力がモロに露見する場所でも地力を発揮できる面々ばかりが、毎夜登場してきた。

この日もスペースの狭さやら、曲によってギターを持ち替えるとかはなし。まさに弘法筆を選ばず、なんである。このバンドの底力はむしろこうしたスペースで本領を発揮するんじゃないだろうか?人それぞれ、見どころや贔屓のミュージシャンはいるだろうが、ポップスからソウル、ファンク、先鋭的なロックなどなど、凄まじい音楽的筋力を誇る沼澤のドラミングは、一定のリズムキープに徹しながら、無駄を排しているからこそ、その一音一音がすこぶる気持ちいい。苗場食堂と言えば、連日多彩なゲストを迎えた共演が見ものだが、この日はまず、今年6月にリリースしたアルバムにも参加している佐藤タイジが登場。永井のテレキャスと好対照なレスポール・サウンドで、ギタリスト同士の音の会話が展開する。加えて、事前にアナウンスされていなかった、スペシャル・ゲストとして、永井40年来の盟友、山岸潤史が登場し、永井のテレキャスで演奏し始めると、正直ブッ飛んでしまった。切れ味鋭く、正確無比なリフのかっこよさをものすごく間近で見てしまったせいか、ソロももちろんいいのだが、それ以上にどんな音楽でも、徐々に聴き手がトランス状態に入っていく条件はジャンルが違えど同じなんだなあと、山岸のプレイを見て体感。古くて新しい音楽、ブルーズの魅力は、演奏する人間そのものの魅力。退屈な”ブルーズ風”を演奏する御仁とはワケが違う。

それもこれも至近距離で演奏の迫力を知ってしまったからだ。妙な先入観を取っ払ってくれるこの場所に感謝したい。それにしてもアンコールを求め続けるお客さんもタフだった!

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