DRENGE
新たなヒーロー、ラブレス兄弟!
昨年、Hostess Club Weekendに出演するはずだったが、イベント自体が中止になってしまった為、今回のフジロックは日本初来日となった、ドレンジ。オーエン(Vo&Gt)とロリー(Dr)のラブレス兄弟による兄弟ユニット。イギリス人の兄弟がバンドを組んでいるだけでかっこいいのに、「ラブレス」という苗字が余計にかっこよさを引き立たせている気がする……。
時間ぴったりに登場し、今年の4月にリリースされた”undertow”から、”Introduction”と”Running Wind”を立て続けに演奏する彼ら。恐らく、あの場にいる人のほとんどが実際にライブを見るのは初めてだと思うのだが、今までCDから聴いていた、不気味だとかサイケデリックな要素があるとか、そういう要素が初めの一音で全て一掃されてしまったのではないだろうか。荒々しくて苛烈なギター。一音一音がのしかかるように重く響くドラム。分厚くうなるようなベース。ライブバンドだとは聞いていたけれど、まさか20歳そこそこの青年達がこんなに強靭で狂おしいな音を出すなんて、と驚愕した人も少なくないはずだ。
ロリーが立ち上がり拍手を煽ると、奇妙なギター音と共に1stアルバムから”Dogmeat”、”Nothing”は、硬派でありながらどこかダークな部分も持ち、独特で味な展開を見せる。レッドマーキー内に響き渡る、より重い音の数々は、まさに「音の渦に飲み込まれる」という表現がまさにぴったり。彼らの鳴らす重厚感たっぷりのサウンドに飲み込まれた観客達は、手を挙げたり、モッシュゾーンを作ったりと、身体や声を使って楽しさを表現しているようだった。
“We Can Do What We Want”やFuck about”などの代表曲が演奏される中、MC度に「ヨッパラッチャッタ~」「ニホンダイスキ~」「オナラカトオモッタラ、ウン○デチャッタヨ~」と、誰に教わったのか分からない、謎の日本語をスマートフォンを見ながら話しているお茶目な姿は、まだまだ少年の面影を残していて微笑ましい。
最後の曲は”Let’s pretend”。1時間のステージをやりきったのだろうか、曲の最後にはシャウトをするオーエンに、鳴らされ続けるノイズ。感極まって、地面に投げつけられるベース。
これからもっと素晴らしいライブをするようになるのだろうと、先が楽しみになるようなとんでもないライブだった。