LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/27 FRI
MARC RIBOT’S CERAMIC DOG
鬼才はひとりだけではなかった
ニューヨークを代表する世界のギタリスト兼作曲家、鬼才マーク・リーボウが2013年のフジロック(MARC RIBOT Y LOS CUBANOS POSTIZOS名義)以来5年ぶりの出演を果たした。今回はMARC RIBOT’S CERAMIC DOGとしての出演なワケだが、MARC RIBOT Y LOS CUBANOS POSTIZOS(マーク・リーボウと偽キューバ人たち)がその名の通りキューバ音楽(というよりラテンに近い)をベースにした超絶最狂プレイを魅せるのに対し、MARC RIBOT’S CERAMIC DOGはジャンルレスの実験音楽集団だ。その編成は、ギターのマーク・リーボウと、マルチ奏者のシャザード・イズマイリー(ルー・リードやローリー・アンダーソンと共演)、そしてドラムのチェス・スミスの3人編成。
そんな鬼人マーク・リーボウがこの3人で実験音楽をやったらどうなる?!そのことは過去のアルバム2作と、先日リリースされた5年ぶりの新作『YRU Still Here』を聞けば大枠は掴めると思うが、やっぱりその真価を発揮するのはライヴだ。
セットリスト自体は最新作からの曲が中心だったが、「あ、これ新曲だ」とか「これ旧作の曲だ」と曲で捉え考えることは最後まで全く無かった。頭に浮かんでいたのは「どうなってんの、コレ!?」「おかしいでしょ!?」とかの驚嘆の感覚のみ。足元手元にあるあらゆる機材をかましてギターを掻き鳴らすマークに、複数の楽器を並列で操りながらそれを立体的に組み上げていくシャザード、正確ながらも微妙にピッチやリズムに変化を加えながらドラムを叩くチェス。この三竦みが、カオスながらもギリッギリの均衡を保ったアンサンブルを作り上げていく。
近代テクノロジーを駆使して超絶プレイを見せるその姿は、最近のバンドで言うとバトルスに近いものがあるが、MARC RIBOT’S CERAMIC DOGの方がより有機的で肉体的。その驚きも種類が違う(要するにどっちも凄すぎるということ)。あまりに凄すぎるが故に、最後まで”現実にあるもの”と思えなかったのは、決して僕だけじゃないと思う。
そう、鬼人はマーク・リーボウだけではなく、MARC RIBOT’S CERAMIC DOG自体が鬼人集団だったのだ。
<セットリスト>
Personal Nancy
Pennsylvania 6 6666
Freak Freak Freak On The Peripherique
YRU Still Here
Rant
Orthodoxy
The Big Fool
Shut That Kid Up
Fuck La Migra 02:54
[写真:全10枚]