WHITE STAGE 7/24 SUN TAGS : LIVE REPORT 7/24 SUN WHITE STAGE

BATTLES

LIVE REPORT

バトルス史上最高のバトルス

開演前、他のミュージシャンと同じようにサウンドチェックが行われていたのだが、バトルスのメンバー、イアン・ウィリアムス(ギター/キーボード)、デイヴ・コノプカ(ベース/ギター)、ジョン・ステイニアー(ドラムス)、本人たちが”普通に”チェックしている。実は、バトルスとしてはこれが普通の光景で、このことに関して、以前彼らはインタビューでこう答えている。「すべての楽器や機材がちゃんと鳴るかどうか、確認できればOKなんだよ。」そう、ただ単純に、ライブやるのは自分なんだから自分でチェックするよ、という話なんだとは思うが、彼らぐらいの大物になると、自らサウンドチェックするなんてことはそうない。じゃあ、何故彼らは自らサウンドチェックをするのか。要は「自分でチェックが必要なぐらい、精密なパフォーマンスが要求されるから」ということなんではないか。

ライブが始まると、その「精密さ」が分かりやすく表れてくる。イアンは「ギター弾いて、それをサンプリングしてループさせ、ギター持ったまま、自分の両脇に1台ずつあるシンセを引いて…」、デイヴは「ベースを弾いて、機材いじって、ギターに持ち替えて弾いて、また機材いじって…」、さらにジョンは「ステージ中央で、鬼神のごとくドラムを叩き続ける」。これらを1曲のなかで、並行して鳴らしているのである。それはそれは「精密さ」必要だよね、という話だ。さらに、この一連の動きを、微妙に音を鳴らす手段を変えながら、巧みに音を構築していくものだから、見てる側からしてみたら「なんじゃこりゃ!?」という風になる。これには、もうただ笑うしかないし、けど、そういう状況がひたすらに楽しい。気がついたら1時間20分、あっという間に過ぎていた。「楽しい時間はあっという間に過ぎる」とはよく言ったものだ。ちなみに、今回のセットリストは、彼らのキャリアを総括するもので、“Atras”もやれば、“Ice Cream”もやったし、“B+T”もやった。アンコールはなかったけれど、誰ひとり文句を言うファンはいなかった。それほどに内容が充実していたということである。

ご存知の方も多いと思うが、バトルスは元々4人編成のバンドだった。しかし、そのうちの1人、タイヨンダイ・ブラクストンが脱退し、その失った穴を埋めるがごとく、残った3人がダイヨンダイと作り上げたバトルスのサウンドを、何とか3人編成で表現できるよう頑張ってきた。それがセカンドアルバム『Gloss Drop』までの話だ。新作『La Di Da Di』は3人でゼロから作った初めてのアルバム。ここで彼らは「3人のサウンド」を完全に確立した。もう“タイヨンダイのいないバトルス”ではない。そのことを今回のライヴで感じることができたのが、凄く嬉しかった。今のバトルスは間違いなく過去最高である。

【セットリスト】
Dot Com
Ice Cream
FF Bada
Futura
B+T
Tras 2
IPT2
Atras
Summer Simmer
HI/RO
The Yabba

Text by 若林修平 Posted on 2016.7.24 22:37