話題のUKバンド初お披露目。その真価は?
毎年雨で悩まされるフジロック。初日も朝から雨が降り、地面はぬかるむ。だけども続々とお客さんはやって来て、グリーン・ステージも前方は埋まるようになった。ステージ背後には、女の子が何かに抱きついている例のアルバム・ジャケットを大きく引きうつしたものが置かれる。始まるときには雨も小康状態になり、舞台は整えられた。
ザ・ヴァクシーンズは、イギリス出身の4人組で、典型的なUKギターロック。この次に出るカイザー・チーフスにつながるような、労働者階級的な雰囲気を醸し出す。ヴォーカル/ギターのジャスティンは11:30にも関わらず「グッド・アフタヌーン」と挨拶、ライヴは”Blow It Up”で始まり、”Post Break-Up Sex”、”Wreckin’ Bar (Ra Ra Ra)”と徐々にスピードアップしていく構成だった。ステージ前に詰め掛けたお客さんからはダイヴァーも現れる。
アーニーのたどたどしい日本語の挨拶も温かみを感じさせ、親しみやすさを覚える。”If You Wanna”はちょうど真ん中あたりで演奏され、一番の盛り上がりをみせた。そのころには、また雨が降り出してきて、お客さんが一斉に同じタイミングでフードを被りはじめたのが面白かった。本国ではハイプ的な捉え方をされるようだけど、地に足がついたバンドとして成長してくれることを期待したいし、そうした資質があると思える。”Family Friend”でスローに落としつつも、曲の後半では轟音を放出して、こういうのは英国の伝統だよなぁなどと感慨に浸らせる。そして、ジャスティンがきちんと各メンバーを紹介して、最後は”Norgaard”で、再び加速して締める。雨もまた弱まり、お客さんたちは雰囲気よく、日本で初お披露目のライヴを温かく見守ったのだった。
写真:中島たくみ
文:イケダノブユキ