「この定番殺し!」
思わずこう叫んでしまいそうになった。だってアナタ、バンドが突如として大成功を収めてしまったら普通、次のステップで紆余曲折するってのが定番じゃーございませんか。次回作に対する生みの苦しみとか、メンバー間の軋轢とか。「みんな悩んで大きくなった!」野坂昭如センセーだってこう言ってたじゃございませんか。
しかしARCTIC MONKEYSは違った。世に出た途端にデビューシングル、アルバムともに全英初登場一位、続くセカンドアルバムも大成功、巨大フェスではヘッドライナークラス。そしてネガな定番などブッとばし、今年はフジのグリーンステージに堂々の登場! なのである。そのままコールドプレイへ続く、リッチな流れだ。
「大丈夫か!おい!これは!」
こうツッコみたくなる性急&変態的なビート(良い意味です)は相変わらず。2曲目の"Brainstorm"でいきなり観客は大沸騰。ドラムのマットはカメラ目線出しまくりだし(しかもスティックを軽やかに投げてキャッチしてドヤ顔)、お客さんの盛り上がり方もスゴイ。PA裏に設置されたスクリーンを見ながら、スクラムを組んでるお客さん達、自由過ぎ(リスペクト)。でもPAの裏だから、ステージから見えないのが残念。"Fluorescent Adolescent"で楽しそうに踊ってるお客さんの姿、メンバーに見て欲しかったなぁ。
ラストの"When the Sun Goes Down"では、ボーカルのアレックスがドヤ顔でお客さんを煽る。一見平熱っぽく見えるイメージのメンバーだけれど、バンドのポテンシャルは高くキープ出来ているんだなぁーと、思わず納得させられたライブ。こんなにスクスク成長して、この先どこまで行くのだろう? いや、「この先どうなるか」と思わせてくれるという事は、やっぱり彼らは本物なのだろう。
写真:深野輝美(Supported by Nikon)
文章:小田葉子