ヤーマン!太陽を呼ぼうぜ。
15時台のオレンジコートは雨でドロドロの沼地と化していた。終始レインウェアに身を包んでいなければならない1日となってしまい、確かに雨からいくらか防御はできるが、服の中はサウナ状態。暑い気候の土地から生まれる音楽が堪能できるこのステージで、最強のトロピカル環境と言っていいのではないだろうか。
そんな好条件(?)にふさわしく1曲目は「温泉物語」。うっとおしい汗の蒸気も、スティールパンの音にかかればたちまち大浴場で思わず平泳ぎをしてしまうくらいの心地よさ。ビートルズ「ノルウェイの森」のメロディで始まる「無能の人」ではティコが叩くスティールパンの音、ハカセの刻むキーボードの音が、まるで太陽を呼んでいるかのよう。「イエー! みなさん田植えは進んでますか?」この沼地を見て出た言葉なのだろう、なんともポジティブなMCにテンションの高い歓声が返ってくる。
6月にリリースされた新譜『太陽の花嫁』から「水平線」を披露。うねるようなレゲエのベースラインにのっかるサックスのメロディが曇り空をこじ開けようとしている。続くエキゾチックなナンバーではついに雨が止み、太陽が顔を覗かせていた。「もう少しで晴れる予定なんだよ。俺的にはさ。ヤーマン!」 続くアルバムのタイトル曲「太陽の花嫁」が演奏された時、雨の降りしきる苗場の中でもっとも太陽に近くなった瞬間だった。
ラストを飾ったのは「Over The Rainbow」。残念ながら今日、晴れている時間はほんのわずかだったけれども、明日は晴れると思うんだよね。わたし的に。
文:千葉原宏美
写真:佐俣美幸