生き残った我が精鋭たちよ!(『風雲!たけし城』風に)
オールナイト・フジの大トリは、テクノ界の大御所であるシステム7だった。すでに空は明るくなり、雨は一向に止まず、地面の状態は悪いまんまだし、お客さんも減ったけれども、PAブースからステージ前までには、まだまだお客さんたちが残っている。残っているからこそ元気に踊りまくっていた。それはまさに歴戦のツワモノという感じ。
昨日の夜から徐々に脱落していく中、雨をモノともせず、バスドラムの響きに身を任せて踊るクレイジーな人たち、その最後に残った精鋭のためにシステム7が演奏したのだ。
スティーヴ・ヒレッジ大先生とミケット・ジローディの二人をみていると、大学教授夫妻みたいに落ち着いて知的な風貌であるのだけれども、サイケデリックなバスドラ4つ打ちのテクノにいろんな要素を感じさせるサウンドの上に凶暴でえげつないディスト―ション・ギターを被せてくる。途中、雨が吹き込んできて機材が濡れそうになり中断する。応急処置を施して再開。それでも、お客さんのテンションは下がらなかった。
明るくなってわかることだけど、開き直って裸足で踊っている人もけっこう見かけるし、レインウェアなしの人もいる。今までどうしてたんだろうと思うけど、ホントにタフだよなぁ。筋金入りのレイヴァーって感じがする。午前6時ころ「セブン、セブン、セブン……」というボイスを発して、セットが終了。ブライアン・バートンルイスが出てきて、挨拶をする。「オールナイトフジを思いがこもったイベントです!」まさにそうだ。おそらく雨で来るのを断念した人、最後までいることを断念した人も多いはずなのに、それでもこうして残っている人がいることに対し、それからこのコンディションの中でちゃんと運営してきたスタッフ(ブライアンは「チーム・オールナイトフジ」と称していた)に対し最大限の敬意をこめて拍手が起こった。そして、最後にもう1曲アンコールとして、システム7が演奏して長い長い夜が終わったのであった。
文:イケダノブユキ
写真:近澤幸司