俺たちはできる!
ある時は鮮やかなスウィングあり、ある時は陽気なレゲエのリズムあり。そしてまたある時は、生命力宿るスカのリズム。しかしてその正体は? そりゃもう、夜のとばりの降りたグリーンステージに登場する、東京スカパラダイスオーケストラだ!
フジロック二日目の夜。スカパラの登場シーンは、まるでスリリングなドラマを見ているようだった。ライヴの序盤ですでに”DOWN BEAT STOMP”が始まり、横で見ていたお客さんが次々に喧騒のるつぼにスッとんで行く。ステージ上ではホーンセクションが縦横無尽に動きまくり、ギターの加藤は派手にステップを踏み続けている。巨大スクリーンにはキーボードの沖の超絶鍵盤プレイがドアップで映し出されている。どうなっちゃうんだ、今夜のステージは。そしてどうなっちゃうんだ、今夜の自分は!(大喜)
「次に演る曲は、3月に地震があって、その後の4月にレコーディングした曲です。テーマは「WE CAN DO IT!」 スカという音楽を通じて、みんなで助けあえたらって、そういう曲です!」
バリトンサックスの谷中が観客に向かってこう語りかけ、始まったのは”All Good Ska is One!”。そのままラストの”Just say yeah!”まで、グリーンステージを包む高揚感に、ひとつの強い意志を感じた。「俺たちはできる!」そう言って大観衆の熱波を一手に受け止め、さらに見事に投げ返してみせるスカパラの雄姿に、胸が熱くなった。あの瞬間、自分の中にある忘れかけていた生命力を、スカパラの演奏で呼び起こされたのは、きっと私だけではないはずだ。
文:小田葉子
写真:熊沢泉 (Supported by Nikon)