そのサウンドを生かせるよう、次に期待
また雨か……とうんざりした気持ちの朝を迎えたフジロック3日目。天候は回復すると思ったけど、どうにも期待する方にならない。グリーン・ステージもPAブース横辺りは完全に泥田状態なので、なかなか足を踏み入れる人がいない。したがってグリーン・ステージが閑散としたものになる。
そんな中にグラスヴェガスが登場した。4人組のバンドでドラムはスタンディングでクールな風貌の女の子が叩く。ギターのラヴ・アランはがっしりした体躯でかなり大きく見える。左利きのギタリストから放たれるギターは壮大なスケールを持ち、さらにヴォーカルのジェイムズ・アランの伸びやかな声質がスケールの大きなメロディを歌い、そのサウンドと共に重厚でドラマティックな世界を作り出すことを目指している。
まだキャリアが浅いバンドだけど、作り出す音はシンプルな編成ながらここまで重厚さを出せるものかと思うのだけど、まだまだグリーン・ステージのスケールに追いついてないかもと感じてしまう。これがレッドマーキーあたりだったら、会場の中をウォール・オブ・サウンドで満たして、観ている人たちを陶酔させることができたのになぁと、観ながら思った。
バンドが演奏を始めると、徐々にお客さんも増えてきたし、雨は降っているけど弱まって、待望の日差しが出てきたけど、真っ昼間のグリーンよりも、もう少し濃密さを体感できるところで聴きたかったというのが正直なところ。ジェイムズはレッドブルとビールを交互に呑みながらご機嫌な様子。中盤にはザ・ロネッツの”Be My Baby”カヴァーして、そのサウンドのウォールぶりをアピールできたし、”Go Square Go”みたいな曲が増えてきたらもうちょっといいのにと、いろいろ課題を感じて次の出場に期待したい。
写真:前田博史
文:イケダノブユキ