笑顔が耐えないほどよくゆるい空間
メンバー4人ともヴォーカル・ギターというTHE DEKITS。元々はDJイベントをやろうと集まったものの、バンド好きということもあり、いつの間にかバンドを結成してしまったそう。メンバーはRIDDIM SAUNTERのヴォーカルであるKCとYOUR SONG IS GOODのギターであるモ~リス、FRONTIER BACKYARDのヴォーカルであるTGMX、COMEBACK MY DAUGHTERSのヴォーカル&ギターであるTKと、活躍中のミュージシャンばかり。彼らのライヴを見ていると、のんびりでマイペースな空間を醸し出しながらも、「音楽が好き」ということが強く伝わってくる。
スタートはよい意味でかなり適当。早速歌い出すのかと思えば、ヴォーカルの3人が交互に歌い、3人ともが途中でフェードアウトしていく——。と、出だしから自由そのものの空気で満ち溢れている。
そして3曲ほど終わった後で、「山を越えたので、ビール飲んでいいですか?(笑)」というMC。観客の笑い声の中、こう続ける。「このバンドの目標はフジロックに出演することだったので、今日で目標が終わります(笑)。今日はこれからの目標も見つけられたらなと」。これほどゆる〜いライヴだと、とても親近感が沸くし、見ていて一切疲れることがない。曲が始まっても、MCが始まっても、笑声が耐えないステージだ。
いつもは20分程度のライヴばかりだそうだが、今回は45分という彼らにしては少し長めの時間。この日のために作ったという新曲も複数曲披露してくれた。後半にはメンバーの「立っちゃえば?」というかけ声で、前列に座っていた人も一斉に立ち上がっていく。いつもの穏やかな木道亭とはまた違った、ほどよく活気のあるポジティヴな気持ちが溢れたライヴを見せてくれた。
文:松坂愛
写真:輪千希美