まだ2回目
前夜祭でオーディエンスの心をつかみ、木道亭にメディアブースにと着実にライヴを重ねる彼らは、当然のごとくクリスタル・パレスにも登場した。ONDA VAGAについて、フジ開幕前によく聞かれた声は、「アコースティックだから大人しい」といったものだった。しかし、前夜祭でフタを開けてみれば大騒ぎ。大きく予想を裏切ることとなった。
南米のフォルクローレやシンプルなリズムを芯とし、そこに振りかけられているスパイスとしてパンクがある。それは、落ち着いたアレンジで奏でられる”ハバナ・アフェアー”が、実はラモーンズの曲だということにも、みてとれる。
彼らの魅力は、登場時に演奏される”オンダ・バガのテーマ”のように、コーラスワークで魅せる曲をやりつつも、「にぎやかし」としての瞬発力を発揮させる部分にある。「へぇ。」と達観しているところに、いきなり熱いノリでたたみかけるといったように、ギャップで落とすのだ。トランペットとカホンを担当するマルセロがメインヴォーカルをとれば、ステージの前へ後ろへ激しく動き回り、それを見たらば、もう「大人しい」というイメージで捉えることなどできなくなる。
彼らのステージは、あと指折り数えるほどある。見るタイミングもつくりやすいだろう。期待せずに見たときの驚きは、何ものにもかえがたいものだ。是非、だまされたと思って、足をはこんでみてほしい。
写真:中島たくみ 文:西野太生輝