凄かったり、そうでもなかったり
BIR KHALSA DALご一行は、揃いも揃ってターバンを巻いており、いかにも「インド人」な人たちだった。言うなれば「マハラジャ」のイメージだ。毎年、終始ハラハラさせられるパレスのサーカス枠だが、今年はちょっと違った。
蛍光灯を噛み砕いたり、頭に乗せた果実に目隠しで木刀を振りおろしたりして、その破片をまったく片付けない。お国柄なのだろうか?間髪入れず、騎士のような2人の男がしゃしゃり出てきて、思いっきり棒を振りまわしている。子供のケンカみたいなところはおもしろいのだが、別の意味でハラハラ。他にも、火を吹いたり、首を吊ってみたりと、ベタだけれども驚くべき要素は多分にある。
唖然としたのは、しこたま驚かせる技の間に、ゆるいミニコーナーがあるということだ。サーベルを持った男がピョンピョン飛びはねながら踊り、「なんだろう、これは…?」と思わせるのだ。そうこうしているうちに、再び度肝を抜く技が繰り出され、そしてまた、サーベル男が出てくる…という流れだった。繰り返されれば「緊張をほぐしてくれているんだ…」などと、前向きな思いにもつつまれる。
とある友人は何度も見にいき、完全にとりことなっていた。確かに、冷や汗ではないニヤニヤも悪くない。むしろ、また見たいと思っている自分がいる。どうやら、インドの呪術にまんまとかかってしまったようだ。
写真:岡村直昭 文:西野太生輝