ロドリーゴ・イ・ガブリエーラが初めてバンドで録音したアルバム『エリア52』を発表してワールド・ツアーに入っている。そのライヴで音楽監督として絡んでいるのが、アレックス・ウイルソン。アフロ・キューバンからラテン・ジャズの世界で頭角を現しているピアニストで、今回、ジャマイカの伝説的ギタリスト、そして、世界を変えることになったレゲエの前身、スカを創造した一人でもあるアーネスト・ラングリンのバンド・メンバーとしてフジロックにやってきた。
超絶テクニックに裏付けされた独特なスタイルでオーディエンスを驚喜させたアーネストに真っ向勝負を挑んで、驚異的なアドリブを聴かせてくれたアレックスの最新録音が面白い。といってもリーダー作ではないんだが、なんとキューバ人のバグパイプ奏者、ウイルバー・カルバーの作品『ディアスポラ』。アルバム・ジャケットに「アフロ・キューバン・ケルティック音楽」と紹介されていて、それだけでも興味をそそられるのだ。なにせ、アフロ・キューバンとまるで脈絡も感じさせないアイルランドあたりの伝統音楽が合体。単純にアフロ・キューバンの音楽の上でバグパイプが鳴っているのかと想像しがちなんだが、実際に聴いてみるとまるで違和感はない。
なんでもこのアルバム、9月3日頭発売。日本でも入手可能のようなので、興味をそそられた人は聴いてみればどうでしょ?
文・写真:花房 浩一