まったく飽きません
出しものは前回とほとんど同じなのだが、これがまったく飽きない。初見のフジロッカーズからは「うわぁ…」というくぐもった声が出るんだけれども、慣れた者は達観して、エンターテインメントとして楽しめるようになっている。凄いとかいうレベルを越え、技と技の間で繰り広げられるコネタや、「どや!」という表情がたまらないのだ。
今までのパレスにおいて、彼らほど微笑ましいサーカスがあっただろうか。思いおこせば、3台ものバイクがせまい球体の中で爆走していたり、とんでもなく高いポールの上でアクロバットをやるような、「死」と隣り合わせのもの、はたまた皮膚にフックをつけてぶら下がるといった、とにかく顔を手でおおい、かろうじて指の隙間からのぞき見るような恐ろしさがあった。
それらに比べれば、かなり安心して見られるものだったし、友人たちとBIR KHALSA DALのことを喋ると、なぜか表情がゆるむ。ひょっとすると、彼らはサーカス界の妖精なのかもしれない。
写真:前田博史 文:西野太生輝