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Posted on 2013/07/28 03:30
  • ライブレポート
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溺れたエビの検死報告書

人間どもをステージ前にワシャワシャ引きずり出す!

ルーキー・ア・ゴーゴーと言えば若手バンドのフジロック登龍門としてのイメージがあるステージだが、この溺れたエビの検死報告書(以下エビ)は関西方面を中心に10年以上のキャリアを積むベテランバンドである(え!ベテランなのにルーキー!?という疑問についてはインタビューをどうぞ!)。開演15分程前に黒い覆面を被ったメンバーが、セッティングのためステージに現れた。長年のキャリアを魅せつけるかのごとく、サウンドチェックの時点ですでに観客を沸かせるエビのメンバー(まだエビの姿ではないのだが…)に乗せられて、パレス後方にいるお客さんが続々集まってくる。

セッティングも終わり、ステージの明かりが消えた。そして人間のいなくなった舞台にエビ人間が一匹、また一匹と頭をピクピクさせ列をなし、ぞろぞろと上がり込んでくる。最初は客席から戸惑いの声やエビのマスクを見て笑い声が聞こえたりしたのだが、長(おさ)がベースを叩きつけるとそのサウンドに圧倒されて一気に空気が変わった。カッとエビの目が緑色に光り、怪しげな雰囲気でライブがスタートする。

その見た目から色物バンドに捉えられがちだが、彼らは総合アート集団でありベテランの演奏者でもある。アルバム『アノマロカリス』の”ワシャワシャ!! グギャギャギャギャ!!!”になるとさらにステージ前のボルテージは上がる。叩きつけるようなベースとホーン隊のずっしりとした曲がきたと思えば、電子パーカッションのきいたダンサブルな曲で会場を飛び跳ねさせたり、短い時間ながら変幻自在の演奏が続く。曲によっては演奏をしないメンバーがいるのだが、頭を微動だにしない状態(動いても手をワシャワシャする程度)で後方に横一列に並んでいる。そんな何も演奏していない姿でさえも、エビのライブパフォーマンスの一部だ。

ライブ終盤にはかっぱえびせんの小袋がステージから投げられ、長が杖を高くかざして客席に降り立ち、生贄の儀式(客席で生贄をワシャワシャする儀式)も行われ、観客を巻き込んでの大騒ぎ。ふと後ろを振り返るとステージ前の人だかりは後方にあるバイクパフォーマンスの場所あたりまでいるのではないかという勢いにまでなっていた。自分が見たルーキー史上、一番であろう盛り上がりを見せたエビは、パフォーマンスを終えた後に一匹また一匹とステージを後にしていくのであった。メンバーが去った後もアンコールがしばらくやまなかったが、エビが人間どもの前に姿を現すことはなかった。次は違うステージでじっくりと堪能したいものである。

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