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7/25 FRIGYPSY AVALON

カセットコンロス(CaSSETTE CON-LOS)

涼しい夏の夜に、最高のカリプソと最高のお酒を

すっかり暗くなったジプシー・アヴァロン。20時すぎに集まった人々は夕涼みがてら、お酒を飲んだり座って休んだり寝ていたりとゆっくり過ごしながら、カセットコンロスの開演を各々のスタイルで待っていた。この自由な過ごし方もフジロックの醍醐味。厳かな青い光に照らされたステージ床と対照的に、夕焼け色のオレンジに染まったバックの壁がこれから登場するであろう陽気で愉快な連中を予言しているかのようだった。

メンバーがステージに揃うと、ライブはとびきりご機嫌な“Ah-ha”からスタート。登場した冒頭のMCで、ワダマコト(Vo&Gt)が話した「ゆっくり楽しんでいってください」の言葉通り、「問題ない それからさ 飲めや歌えや踊るカリプソ」の歌詞とともにすこぶる気持ちいいサウンドを聴いただけで、ほっこりしてリラックスできてしまう。そんな魔力のあるサウンド。聴いているだけで、嬉しくなって踊り出したくなってお酒が飲みたくなるって一体どういう魔法なんだろうか。これがビューティフル・フライデー・ナイトの始まり!であった。陽が沈んで涼しくなった夏の夜に、アンドウケンジロウが奏でるクラリネットの音色が心地よい。

2曲を演奏し終えると、「ありがとう。カセットコンロスとしては珍しく、つつがなくスタートしました(笑)」との言わなければいい報告もありつつ、“キャロライン”へ。帰らぬ人を待ちながら眠りにつくようなクラリネットの音色がまた泣かせる。ワダが「すべてのミュージック・ラヴァーに捧げる新しい曲やります。地味です」と謙遜を交えながら、ギターの音色が特段柔らかくてユッタリとした曲も披露。

ギター・インスト曲の部では、あまりの心地よさに“彼らの音楽を聴きながらお酒を飲んで食事したらどれだけ最高だろうか…”と思い始め、周りのフジロッカーたちをひどく恨めしい目で見ていたのは仕事中の私だ。“夏は忙しく、冬はパッタリ仕事がこなくなる”と期間限定バンドのような扱いに困っているという彼らだが、夏の始まり・フジロック初日の夜にアヴァロンで彼らの演奏を聴いたことは、ここにいる人々にとって夏一番の良い思い出として記憶に残るに違いない。本人たちは困ってしまうかもしれないが、それだけ夏の夜、しかも野外で聴くカセットコンロスは格別だ。

「最後は踊りたい?じゃあ極力踊れる曲をやります、踊れるように演奏します」とワダがカリプソ色濃厚なカッティングで走り出し、エンジン全開の陽気なナンバーで観客もテンションMAX!永遠に続いてほしいような楽しい夜は、こうして更けていった。

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