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7/25 FRIRED MARQUEE

JUNGLE

金色の光を纏った多幸感サウンド

自らの素性を明かさないまま、デビュー・シングル“Platoon”のPVが世界中で60万回以上再生され、一躍注目を浴びたジャングル。ニュー・ソウル/ファンク・デュオである彼らは、そんなミステリアスなニューカマーだ。ソウル、ファンク、ロック、ヒップホップ、R&Bなどを飲み込んだ音楽性はリスナーに壁を作らず、至極“今日的”なアーティストと言えるだろう。“J”と“T”という2人のイニシャルを除いては実体が分からなかったが、ウェスト・ロンドン出身のジョシュとトムという男性デュオであることは発表されているようだ。

はしゃぎ過ぎたフジロック初日も夜が更け、時計は23時30分を回った。まだまだ遊び足りないといった、火がついたままのフジロッカーたちがレッド・マーキーに集まってくる。緑色のライトが飛び交い、これから始まるパーティーを期待させるなか、ジャングルがステージに登場した。すると、「モシモシ、コンニチハ!」と日本語で元気に挨拶するジャングル。あれ、ミステリアス感が…もっと寡黙な感じかと筆者が勝手に想像していただけなのだが。

そして、まずここで謝らなければならないのは、ライブが終わるまでの間ずっと、ステージにいるジャングルの2人が結局どちらがJで、どちらがTなのかまったく分からなかった。公開されているヴィジュアルはすべて、6歳のBガールだったりスケート・チームだったりと本人たちではなく、最新のものも白人・黒人の老紳士2人だし、なんかバイカーみたいなのもあるし…と言い訳だが申し訳ない。

ステージ中央にはJとTがおり、2人の前にはシンセサイザーと“風防”付きのマイクが並んでいるという、かなり印象に残るものだった。ステージ向かって右側には女性ヴォーカリスト、左側にはギタリスト(時折ベーシスト)、JとTの後ろにはドラマーを配置し、2人の作品を支える。

眩しくて直視できないほどの金色の光に包まれながら、まずは“Smoking Pixels”からプレイ。口笛の音が哀愁を誘うトラックで静かにライブのギアを入れていく。特筆すべきは、女性ヴォーカリストの圧倒的な声量。終始、彼女の歌声がジャングルの曲に豊かな生命力と神々しい神秘性を吹き込んでいた。どちらがJかTか分からなくて恐縮だが、片方のジャングルが楽器をベースに持ち替えると、PVが50万回以上再生されシングルにもなったソウル・トラック“The Heat”が鳴らされる。沸き立つ観客が一気に彼らのグルーヴと世界観に呑まれていくのがよく分かった。曲が終わると「アリガトウゴザイマス!」「アリガトウ!Thank you!」と日本語を織り交ぜMC。あの、ミステリアス性が…。とりあえず“いい人たちなんだろうな”というのは現時点で十分に感じられる。

“Lucky I Got What I Want”に入り、ベッドルーム・ミュージックのような穏やかなサイケが展開していく。どこか宗教音楽的な響きもあり、金色のライトと相まってか音楽に没入してしまう。“Julia”が終わると、「東京マシー(?)アッハッハ!フジロックデデキル!」とかなり怪しい日本語でMCしたが、フジロックに出演できた喜びはとても伝わってくる。すごくフランクで良い人たちそうだぞ、ジャングル。“Son Of A Gun”“Accelerate”と曲が続き、演奏が終わるたびに歓声が上がる。繰り広げられるゴージャスでアンニュイでどこか神秘的な音世界に、フジロッカーたちは皆気持ち良さそうに頭を揺らしていた。

デビュー・シングル“Platoon”が鳴らされ、会場も真夜中の一体感を上げていく。興奮した観客の大歓声がきっとメンバーにも届いたはずだ。ビートの効いた“Busy Earnin’”でさらなる盛り上がりを見せ、「フジロック・パーティー!」と叫んでハッスル状態のジャングルも熱量が高く、とても気持ち良さそうにプレイしていた。一息ついて「アリガトウ!」「So Beautiful!」と人々への感謝と広がる光景の感動を述べると、肉体的なダンス・ナンバー“Time”へ。ステージの上も会場も一心不乱に踊る。熱狂的な状態でそのまま走り切り、「フジロック!」「アリガトウ!」とMCが飛んだことでライブの終わりかと思われたその瞬間、なんとここで本日2回目の“Busy Earnin’”をプレイ!フジロッカーたちもこれには大喜び。盛り上がりは最高潮に達した。

ミステリアスさを全面に出す彼らだが、スコーンと抜けたような気さくでフレンドリーな素顔をフジロックで垣間みることができた。熱狂なのかヒーリングなのか、音楽面でも神々しい印象を強く植え付けられたライブ・パフォーマンスだった。ここからどのように進化していくのか、より盛り上がっていくであろうジャングルの今後が楽しみだ。

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