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7/26 SATRED MARQUEE

the band apart

神セトリ実現。7年ぶりの帰還

レッド・マーキーの屋根は灼熱の太陽に灼かれているらしい。PA付近ですら、50度程度のサウナ状態。ただ立っているだけでTシャツが重くなってくる。しかし、そこはフジロック7年ぶりの登場となるthe band apartが、歌詞を日本語に変えてからのアルバム『街の14景』やニューEP『BONGO e.p』リリース後の夏フェスで、何を聴かせてくれるのか?非常に興味深かった。

結果から言うと、この場所に集まってきたオーディエンスは圧倒的に、日本語にスイッチしてからの作品に馴染みのない人が多いということ。もう”Higher”あたりと、最新e.pからの”来世BOX”への反応の違いに明らかである。主にメロディックパンクの流れから継続してファンであり、バンドがジャズやフュージョン、ソウルを吸収していったプロセスの熱い時期にヘヴィリスナーだった人が多い印象だったのだ。

そしてそういう意味ではバンドサイドはフジロッカーであり、バンアパのファンでもある層の心理を把握して苗場に帰還したと言える。それぐらい、いわゆる神セトリが実現していたのだから。特に川崎(G)のテクニカルなギターのイントロが鳴り響いた瞬間、熱しきった屋根が飛ぶような歓喜が生まれた”Eric.W”。この曲の高性能ダンスナンバーぶりは、今ライブで聴くと、先見性が高すぎたんじゃないか?と思うほど。だからこそ、ライブの定番入りして進化を続ける”曲のチーム”に入っているわけだが。

いつものように荒井(G、Vo)がさわやかに「the band apartです。よろしくお願いします」と、選手宣誓めいたMCをすると、一瞬間をおいて、やおら原(Bs)が、自身が熱中症気味でお腹を壊していること、ホテルのトイレがクレイジーな使用状況で、「どんな大物バンドかしらんが、出てこいや!」と、笑いを誘いつつ、本気でご立腹。ライブに直接関係ないことを話しつつ、原の話題でフロアにグルーヴが増すのもいつものバンアパ。

再びキラーチューン”free fall“で、レッド・マーキーをバウンドさせる。中間部の荒井と川崎の音色の異なるユニゾンギターの胸のすくスリル。ビッグチューンの集合体のようなセットリストだが、夏に聴くバンアパは格別なものがある。小気味いいカッティングとか、7thやテンション系のコードや、隙間の多いアンサンブルというものが、実際、清涼感をもたらすのを感じるには、今が最高なのだ。

終盤には日本語詞の中では比較的、アンセミックに定着しつつある”夜の向こうに”が、これから本格化するここに集まったそれぞれの新しい日々をちょっとせつなくもフックアップしてくれるようで、名曲だと思う。鉄板ナンバーが続いたラストには、”K.and his bike”で巻き起こるシンガロング。やはり初期からのファンがフジロッカーズには多い。それはワンマンでも同じなのだけど、日本語曲でも同じとは言わないまでも、曲が理解されているという事実を見たかった。また7年後なんて言わずに、キャリアのすべてを凝縮したアクトで苗場に返ってきてほしい。

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