JACK JOHNSON
暗くて寒い苗場に海辺のさわやかな風
「あのー、やっぱり昨日の午前中あたりに出た方が名演って言われたんじゃないかな」と思ったりもする。もちろん、このライヴのときにこんな天候になるとは予想できないので仕方ないけど。
フジロックもいよいよ大詰め。グリーンステージのヘッドライナーはハワイ出身のジャック・ジョンソンだった。前2日間は雨が全く降らないという奇跡的な天候だったけど、3日目は朝から弱い雨が降ったり止んだりしている。地面がぬかるんだりしないだけマシなのだけど、寒さも一緒に連れてきたのだった。夜になって一層寒さが増している。
グリーンステージには現役感ある大物ヘッドライナーだけあって、ステージ前はかなり人で埋まっている。PAより後ろあたりはキャンプ用の椅子を用意して座っている人が主流になる。やっぱりマッタリとしながら観たいのだろう。
ステージには下手からピアノ、ジャック・ジョンソン、ドラムス、ベースという並び。ピアノもヴィンテージっぽい感じのものだ。背後にはログハウスみたいな感じの木の壁ができている。そこにスライドを投影していた。ひとつ前のフレイミング・リップスが豪華絢爛なステージセットだったのと比べると地味にみえてしまうのは仕方ないけど、お客さんたちがジャック・ジョンソンに求めるのは、そういう方面の豪華さではないわけで。
ほぼ定刻通り現れたジャック・ジョンソンはTシャツにジーンズのパンツという出で立ち。何も飾っていない。ステージがどこであってもアコースティックギター片手にふらりとやってきて、さらっと演奏を始めてしまう雰囲気は作っている。その作り上げた雰囲気というのはちょっとしたこと――雨が降っても寒くなっても――に左右されない確固としたアーティストの力によるものなんだなと、このライヴをみて感じる。
「フレイク」そして「テイラー」からはじまったライヴは、アコースティックギターとジャック・ジョンソンの声でゆったりとした心地よい響きに満たされていった。途中、ゲストでジョン・バトラーやオゾマトリを向かい入れセッションをおこなう。そうした誰がやってきてもウェルカムだし、合わせることができる柔軟さがある。ゆったり/マッタリといっても、「ステイプル・イット・トゥゲザー」のファンキーさはゆるいだけでないしっかり引き締めたもので、そのままレッド・ツェッペリン「ホール・ロッタ・ラヴ」をメドレーでカヴァーしたところなんかは個人的に盛り上がったところだった。
1時間半きっちり演奏してアンコールはなかったけれども、暗くて寒い苗場に海辺のさわやな風を吹かしていった。……でも、グリーンかフィールド・オブ・ヘヴンの朝一発目のさわやかな空気の中で聴きたかったなぁ。
posted on 2014.7.27 21:30
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