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7/27 SUNRED MARQUEE

OK GO

レッド・マーキーを埋め尽くした紙吹雪と笑顔と大歓声!

前夜祭では雨が降ったものの、その後の2日間は快晴が続いたフジロック。そんな天候に山の神様が「これじゃフジロックっぽくないね」と要らぬ使命感(?)を発揮したのか、最終日の朝から申し訳程度に雨が降り続いていた。お昼を回って、細かい粒の雨がサァーッとレッド・マーキーの屋根を濡らしている。“取って付けたみたいな雨だな…”と空を見上げていたが、今思えば“熱くなりすぎるなよ”という警告だったのかもしれない。

もともと湿度の上がりやすいレッド・マーキーは案の定ばっちりムシムシしていた。もちろん理由はそれだけではなく、会場を埋め尽くしたフジロッカーたちの熱気、熱気、熱気。なんだか心なしか、会場を覆い尽くすウキウキ感が尋常ではない…!まだ始まってないよ?ここで楽しいパーティーがあるってどこかで聞いたの?と訊いて回りたくなるくらい笑顔だらけ。ああ、みんな始まる前から分かっているわけだ。これからあの4人組がどうしようもなくハッピーな時間を提供してくれるってことを。

この期待に満ちたステージに登場するのは、アメリカ・シカゴ発のロック・バンド、OK GOだ。いつも趣向を凝らしたPVで楽しませてくれる彼らは、最新EP『UPSIDE OUT』をリリースしたばかり。そのリード・トラックとして発表された“The Writing’s On the Wall”のPVは公開されるや否や、世界中のSNSやブログなどで大きな話題となって、すでに950万回以上再生されていることはご存知の方も多いかと思う。トリック・アートのように、いくつものオブジェクトやペイントからなる目の錯覚を利用した凝りに凝りまくった作品で、最初から最後まで目が離せないアートワークとなっている。しかも、彼らを一躍有名にした、8台並べたトレッドミル(ランニング・マシーン)の上でコミカルなダンスを披露する“Here It Goes Again”のPVと同じく、またも1発撮り。まだ観ていない人はどちらも是非チェックしてみてほしい。

すでに10年以上の中堅選手ながら、“旬な”話題で俄然今年のフジロックでも注目度が急上昇したOK GO。期待と多幸感漂う会場の様子に気を取られていると、SEが鳴り始める。巻き起こる大歓声。メンバーが現れ、“Upside Down & Inside Out”のイントロを鳴らす。すると、さらに地鳴りのような歓声が。演奏の熱と観客のヴォルテージの高まりに呼応するかのように、大量の黄色い紙吹雪がステージの両脇から発射される。これは初っぱなからテンション上げずにはいられないじゃないか!踊るフジロッカーたち。皆が待ちわびていたこの瞬間で、彼らはすでにフジロックでの勝ち戦を決定づけた。

カラフルなポップ・ソング“You’re So Damn Hot”が始まれば、フジロッカーたちは全力でハンドクラップする。驚いたことに、ここでも紙吹雪が舞い、大きな黄色い歓声も飛ぶ。「コンニチハ!フジロック!日本語ガデキナクテ、スイマセン!ボクハ、バカナアメリカ人!」とダミアン・クーラッシュ(Vo&Gt)が茶目っ気たっぷりにカタコトの日本語でMCをして、会場を笑わせる。そして、来る10月22日にニュー・アルバム『Hungry Ghosts』をリリースするとアナウンスするとともに、そのまま“The Writing’s On the Wall”をスタート。喜びの絶叫とともに手拍子が巻き起こる。そして、また紙吹雪!!この1ステージで何回発射する気!?

ギアを上げて、彼らが現在に至るまでのPVの方向性を見い出すきっかけとなった“A Million Ways”、ファンクなグルーヴが気持ちいい“I Won’t Let You Down”をプレイ。ここで、演奏できないほどキーボードの上に積もった紙吹雪をアンディ・ロス(Gt&Key)が慌てて吹っ飛ばすなんて一幕も。しかし今年のフジロックは甘くはなかった。アンディがリード・ヴォーカルをとったロックンロール・ナンバー“Do What You Want”の最中にも、これでもか!とオレンジの紙吹雪を発射。どんだけ!アンディへの当てつけか!

血のたぎってきたダミアンが咆哮するように歌い出した“‪Get Over It‬”では、会場全体で「Hey!Get, Get, Get, Get, Get Over It!」の大合唱。いななくギター・ソロも最高にアブラが乗っていた。会場との一体感が高まると、ダミアンはフットワーク軽くステージの前に飛び出し、客席へカメラを向けて写真を撮り出す。こうなったらフジロッカーたちも大喜び。みんな客席から精一杯腕をのばす。「Very Very Nice!」 ダミアンもご満悦の様子だ。

一転して、ダークなビートにダミアンはカウベルを叩きながら跳ね回ったかと思えば、赤い紙吹雪に包まれた“Turn Up the Radio”ではエッジの立ったデジタル・サウンドを聴かせた。続く“Skyscrapers”では赤いレーザービームが飛び交うステージの上で、「I was blind」と悲痛に叫ぶ。場の雰囲気を変えてしまうほど荒々しい叫びだ。ポップな面ばかりが注目されてしまうが、その奥に覗かせる悲哀の感情こそが単なる面白PVバンドではない、彼らの深みでもある。

十分すぎるほど温まったところで、“Here It Goes Again”を投下。この日1番の手拍子!軽快なリズムにレッド・マーキーは巨大なエクササイズ教室と化す。赤い紙吹雪も“大量”御礼な計4発の大盤振る舞い。最高にハッピーな光景を見上げながら、この場に居合わせた喜びを噛み締めた。トレッドミルに乗りたくなる曲なんてやっぱりとんでもないキラー・チューンだ、と思うと同時に、その場で無意識に駆け足している自分に気がつく。恐ろしい曲。

ダミアンは再度客席をカメラで撮影。フジロックが楽しくてしょうがないといった様子。すると「次の曲は7つの言葉を歌うだけ。楽しいよ」と話すと、“This Too Shall Pass”から「Let it go, This too shall pass」の一節を歌ってみせ、「You got it?」とこちらのテンションを伺うようにニヤリと笑った。OK GO版“レリゴー”か。もちろん観客はノリノリ!「Ready?」のかけ声ととも、3回の練習で観客も気持ちを高ぶらせて大きな声で歌うようになると、ダミアンも「I love Japan!」と嬉しさを爆発させる。と同時に“This Too Shall Pass”のバンド演奏が走り出す。そのままダミアンはステージ前に出て、激しく歌いながら観客にマイクを何度も向ける。フジロッカーたちと触れ合うところにまで飛び込み、人波をかき分けるように歌う。そんな祝祭のダメ押しにまた紙吹雪!どれだけ用意してるの!?そして、ダミアンが「You got it? People, 1, 2, 3, 4!」とカウントすると、先ほど練習したフレーズを会場で大合唱。この時間を心から楽しむように、みんな笑顔で歌った。

「Thank you, FUJIROCK! I love Japan!」 はち切れんばかりの笑顔と紙吹雪にまみれた、年に1度のお祭りに相応しいパフォーマンスだった。ここにきて再び勢いの増したOK GOを確認することができて本当に良かった。テンションもバンドの状態も良い。ニュー・アルバム発売も含めて、彼らは2014年後半も大きな注目を集めるだろう。きっと世界中で今日のような笑顔を大量生産するはずだから。

しかし、紙吹雪すごかったなぁ。カウントダウン・パーティーか何かですか?と疑いたくなるほどの出血サービスぶり。今回の異常な紙吹雪の消費量はバンドのポジティヴな意思によるものか、それともフジロックの意地か執念か…果たして何だったのだろうと別世界のようにカラフルに色づけされた足下を見ながら思った。紙吹雪が外の瞬間雨量を超えていたような…そんなわけないか。

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