downy
圧倒・圧巻の轟音を体感!
昨日、一昨日と、前2日間は汗が体中から吹き出し、暑さで目が回りそうな程の快晴。「ダウニーに、晴れ渡る空は似合わない。」空がそう訴えかけるように、彼らの出演時間の直前に降り出す雨。レッド・マーキー内は湿った空気が充満し、雨を凌ぐ為にぞくぞくと人が集まる。
本番さながらのリハーサルを終え、「こんにちは。ダウニーと申します。」という青木ロビン(Vo&Gt)の声と共にそのままの状態で定刻を迎える。
1曲目は、“葵”。無数の羽ばたく鳥が映し出されるLEDの画面が4人の背後に映し出される。殆ど打ち込みのような、複雑なパターンを精密機械のような正確さで叩く、秋山 タカヒコ(Dr)。それを支える、胸をえぐるような重厚感溢れるベースラインを弾く仲俣 和宏(Ba)。無機質で冷たく個性的な音を圧倒的なテクニックで弾き倒す、青木 裕(Gt)。陰鬱な気分にすらなる浮遊感溢れる声で歌う青木ロビン。音楽に寄り添い、観客の想像力をさらに掻き立てる映像を制作するzakuro(VJ)。ダウニーの音楽は映像との融合から成り立つ。2004年に活動を休止してから、去年9年ぶりに再結成を果たし、今回のフジロックで初出演。活動を休止してからダウニーの存在を知り、この曲で初めて体感する体の隅々に響き渡るドロドロとしたグルーヴに衝撃が走った方も少なくはないはずだ。
活動再開と同時に発表された、第5作品集『無題』から、”時雨前”と”黒”。それに続くは、過去のアルバムから”⊿(デルタ)”、”左の種”。各々自分の世界に入り込み、体を揺らしながら贅沢な程に轟音を浴びるオーディエンス達。急に降り出した雨を凌ぐ為に、たまたま入ったレッド・マーキー。偶然目撃してしまった他の豪華出演者に引けを取らない演奏技術。その暴力的とも殺傷的とも言える音のうごめきの虜になり、ただ茫然と見守る初見の人も会場内では多く見られた。
続くは”曦ヲ見ヨ!”。この曲も堪らない。変則的で人間業とは思えないドラムは、いつ何度聴いても開いた口が塞がらず、1音1音に鳥肌が立つ。「曦」の漢字には「日の光」という意味があり、その字の通りに移された黒からオレンジへと変化していく映像と青い照明とのコントラストも美しい。
「またフジロック、出してね」と発言する青木ロビン。最後は勿論この曲、”猿の手柄”だ。最後を飾るこの曲を丁寧にゆっくりと演奏していく。
ペグを回し、惜しみないギタースキルを見せ、ノイズが鳴り響く中ギターを掲げる青木裕。そして音が止み、ステージを去っていく4人には大きな拍手が送られ、数々の声があがった。
キーボードの音が出ないというトラブルこそ起こったものの、完璧すぎるほどに美しく、雨の天気にはぴったりの、稲妻が落ちてくるような圧倒・圧巻のライブであった。しかし、40分という短いステージで彼らの魅力を堪能するにはまだまだ物足りないと感じる。10月から行われる、ワンマンツアーは見逃せない。
ダウニーのライブが終わったと同時に先程まで降り続いていた雨は止んでいた。このバンドは天気までも味方にしてしまうのだろうか。
posted on 2014.7.27 11:30
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