ザ・ルースターズ
ひたすらストイックに
ザ・ルースターズといえば2004年フジロックでの解散ライヴである。バンドにきちんと落とし前をつけるためにフジロックで演奏をするという一大イベントに対しては、同じく終わることができなかったファンたちの思い入れもすごいものがあった。
そして、10年ぶりに苗場に戻ってきたルースターズの1曲目は「テキーラ」だった。極限までタイトであることを自らに課したような演奏である。
ステージ背後には奈良美智作のバックドロップが飾られ、大江慎也はスーツに白いシャツ、井上富雄はベスト着用にネクタイ、池畑潤二もネクタイをつけているけど、花田裕之だけちょっと傾向が違うカジュアルなシャツを着ている。モッシュピットは熱心なファンで埋まっていた。その両脇が少し寂しかったのが残念。
続く「レザー・ブーツ」「ワンモア・キッス」「ロジー」、とストイックで切れ味鋭く曲が並ぶ。ドクター・フィールグッドのカヴァーである「シー・ダズ・イット・オールライト」は花田がリードヴォーカルを取る。「ドゥ・ザ・ブギー」「レッツ・ロック(ダン・ダン)」と、50代の男たちが、ただ混じりけなしのロックンロールをやるというテーマのように思える選曲と演奏である。
10年ぶりにフジロックにでるということには、なんらかの意味がなければならない。その答えがシンプルで力強く鋭くロックンロールをやるということだったのだ。長いMCもなく、ひたすら演奏する、それだけで魅せてくれるバンドであり続けようという固い意志のようなライヴである。そしてこの日のルースターズは満点の回答をみせてくれたのだ。ちゃんと現役として勝負ができていた。
印象的なところでは、井上のスラップベースから「ニュールンベルグでささやいて」の演奏になるところもすごかった。そしてやっぱりラストの2曲、「恋をしようよ」と「CMC」。この2曲は文字通りクライマックスで、クラウドサーフも発生してステージ前に飛び込む人が続出する。全然古びていないし、懐かしいという感情も湧かなかった。演奏を終えメンバーが去り、その後には「ガールフレンド」が流れていた。
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