GAZ MAYALL
魔法が解けたらさようなら
時刻は27:30になる。今年のフジロックもいよいよ終わりを迎えようとしている。前夜祭を前に、とあるカメラマンが言った事を思い出す。「始まっちゃう!始まったら終わっちゃうよー!」と酒の席で言っていた。本当にその通りだった。始まったのは三日前とは思えない時間の感覚だ。様々なアーティストのライブを見てきたが、それぞれで受ける印象は違っていた。快楽や感心や感動などを、それぞれがそれぞれの色で見せてくれた。全部含めてレインボーカラーだなんて言う気はさらさらない。金や銀、黒だってあるだろう。そもそも音楽を色分けなんて、おこがましいことかも知れない。色分けができるのは会場くらいのものだ。ここは赤を割り当てられているレッド・マーキー。観客とアーティストと私のフジロックはここで終わる。
溺れたエビの検死報告書が終わると観客はごっそり抜けた。レッド・マーキーで人が混んでいるのは全体の四分の一くらいといったところだ。あとは少し離れていたり、後方で椅子に座っていた。大きな、叫び声のようなマイクパフォーマンスが聞こえた。コール&レスポンスが起きている。撤収作業を尻目にすでにご登場、GAZ MAYALLだ。観客を煽り次から次へとレコードを変えていく。ステージではダンスをしている人もいる。もちろん観客も踊っている。彼は幾度となくターンテーブルを止めては叫ぶ。高い所に登っては叫ぶ。その都度、観客を煽りまた皿を回す。観客は少なくなったが元気いっぱいで踊ってる人たちは本当にタフだ。
後半にはステージ後方の画面に今年のフジロックの映像が流れる。感慨深いものがある。この三日間の映像にも関わらず懐かしく感じる。同時に三日間があまりに速い時間で流れていたので、懐かしく思うことに矛盾を感じる。なんとも形容し難いが、結局のところ惜しいのだ。終わってしまうのが惜しい。
GAZ MAYALLが「サンキュー!フジロック!アリガトウ!」と叫ぶ。最後に彼がかけたのはThe Rolling Stonesの”Satisfaction”だった。この曲が終われば、終わる。今が永遠に続く魔法は未だ人類は発見していない。フジロックという夢の魔法はもうじき消える。29:00のシンデレラ。魔法が解けたらさようなら。
posted on 2014.7.28 03:30
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