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7/27 SUNFIELD OF HEAVEN

THE SKA FLAMES

フジロックよ、これがスカ・ミュージックだ!

最終日夕方からのフィールド・オブ・ヘブンは、ザ・スカフレイムス〜ジャマイカのザ・スカタライツ〜東京スカパラダイスオーケストラとスカ三昧のフルコースが用意されていた。しかも、そのトップバッターを飾るザ・スカフレイムスは、結成30周年という大きな節目を来年に控えたスペシャルなタイミングでの登場だ。

そのため、会場の雰囲気が他とはやや違った。フジロッカーズというより“スカ・ラヴァーズ”といった、古参のスカ・ファンが多い印象だ。もちろん若い人もたくさんいるが、より目の肥えた人々が集まっているといった感じ。服装も小綺麗なフェス・ファッションというより、オーガニック系のユルい感じの人、またはパンクスやレゲエ系の人が多い。小雨の降るなか、遅ばせながら「あ、祭りが始まるのね」と察知したのだった。

ステージに総勢13人のメンバーが入ってくる。「いえーい!」と、大正時代の風情を感じる着物姿で伊勢浩和(Vo)が第1声を上げた。メンバーのスタンバイが済むと、ギターからスカの裏打ちリズムが鳴らされる。祭りの始まりだ。「フジロック!」「踊れ!」 トランペット、トロンボーン、サックスの3人によるサウンドの存在感が強烈。自然と身体を揺らしてしまう。白いボディに金の縁取りが眩しい紫垣徹のテレキャスターがカッティングでグルーヴを作り出していく。南国フレーバー溢れる曲では、会場がピースフルなビーチに早変わり。ハンドクラップも始まる。気が付けば、さっきまで降っていた雨が止んでいた。持っているなぁ。

「ありがとう!フジロック!晴れたぜ!」「飲んでるかい!?楽しんでるかい!?踊ってるかい!?ザ・スカフレイムスです」 集まったスカ・ラヴァーズが大いに盛り上がる。バンド自身のフジロック出演も、実に5年振り。この日のライブを、バンドも観客も心の底から楽しみにしていたことが伝わってくる。

甘くコクの深い伊勢の美声を聴かせるナンバーが続き、“絶え間なく瞬く星”では情感たっぷりに歌い上げた。皆ユラユラと身体を揺らし、心地良さそうだ。仲間たちと踊りながら、この瞬間の喜びを互いに確かめ合うようなグループも多く見かけられた。そんな至福の時間をゆっくり加速させるように、「レゲエ・タイム!」と伊勢の合図で裏打ちギターの効いたスロー・ナンバーに。穏やかな波打ち際にいるような気分にさせられる。次は一転ビートがバリバリに効いた曲が始まり、観客たちは一斉にスカのステップを踏む。ステージ前方ではサークル状のモッシュ・ピットが発生。その中には、日本人だけでなく海外の人も本当に多い。スカの音さえあれば国の違いなんてまるで関係なく、踊ることで通じ合えている。周りを見渡しながら、そんなことを思ったりした。モッシュ・ピットでは、踊りながらも記念撮影を始めるグループもチラホラ出てきて、まさにお祭り騒ぎだ。

ベース・ラインのふくよかなグルーヴが身体の芯まで揺さぶる。トランペットの情熱的なメロディに手を伸ばすフジロッカーたち。パーカッションの中須彰仁は、自分の楽器パートがないと、たびたび真ん中の伊勢の位置まで出てきて踊り出す。またその踊りが実に楽しそうでファンキーなこと!一番楽しんでいるんじゃないかと疑いたくなる。伊勢もその様子を見て、笑いながら場所を譲り、今度はコンガを叩いたりしている。なんてピースフルな空間。

「来年で30周年になりました。ますます頑張りますので、よろしくお願い致します」と伊勢が改めて挨拶。「まだまだ行くよ」と放たれたメロディに乗せて、会場全体で手を振る。このとき、会場に人がどんどん増えていることに気が付いた。昔からのファンがとても多いのは確かだが、この並々ならぬポジティヴな雰囲気に人が吸い寄せられているようだ。盛り上がりに呼応するかのようなトランペットの力強い音色に、観客も大いに沸いた。

「今日はこの後、ザ・スカタライツ!」「大好きな彼らに、彼らの曲を演奏して贈りたいと思います」と、ザ・スカフレイムスのメンバーも尊敬する彼らの曲“Phoenix City”を演奏。会場の温度はさらに上昇し、あっという間にサークル・モッシュが発生!肩車されて踊る人々もいて本当に楽しそうだ。これは間違いなく祝祭だわ。

着火した爆竹のようにステップを踏む観客は、ラスト・ナンバーの“Tokyo Shot”でさらに大爆発。踊る、舞う、躍るフジロッカーたち。最後には、英国のスカ・レゲエ・バンド、ザ・トロージャンズのリーダーであるギャズ・メイオール(たぶん?)がステージに飛び入りして観客を煽る!「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」 スカ・ラヴァーズが渾身の力で踊り、笑顔でモミクチャになっていった。フジロック最終日の“天国スカ祭り”1発目は、こうして大円団で幕を下ろした。ザ・スカフレイムスの貫禄をまざまざと見せつけられたステージだった。フィールド・オブ・ヘブンはやっぱりこうでなくっちゃ!

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