JOEY BADA$$
ヒップホップのかっこよさを体現
ヒップホップ勢が少ない今年のフジロックのラインアップの中で、ラップ好きの胸をアツくしてくれたのが、NYブルックリン出身のラッパー、ジョーイ・バッドアス。17歳で発表したミックステープ『1999』で注目を集め、DJプレミア、ロード・フィネス、マッドリブら超豪華なプロデューサー陣を迎えて制作したデビューアルバム『B4.DA.SS』を、2015年初頭にリリースしたばかりだ。
定刻になるとサポートDJが登場し、ぶっといビートを放っていきなりホワイトステージをぶち上げる。DJが数曲かけて観客をあたためた後、グレーのシャツに黒いハーフパンツ姿のジョーイ・バッドアスが勢いよくステージに現れた。キレのいいラップをかましながら、ステージ上を動き回るジョーイは、まだ20歳だとは思えないほどの存在感。しきりに手を上げさせたり、コール&レスポンスをさせたり、ジャンプさせたりして観客を盛り上げる。太いベース音の乗せた“Funky Ho”、腰をゆるく揺らせる“Hazeus View”、女性ボーカルがサビを歌う“Teach Me”など、ヒップホップ黄金期を思わせる曲の数々がとにかくかっこいい。決してヒップホップ好きばかりではないであろう、ホワイトの観客を確実に乗らせていた。
途中から同じくPro Eraに所属するラッパー、ニック・コーションがステージに登場し、一緒にステージを盛り上げた。曲を追うにつれ、ジョーイは上半身裸になり、観客もますます大きく体を揺らす。最後の曲では、「モッシュピットを見せてくれ!」とジョーイが叫び、中央でモッシュピットが勃発。左方のスピーカーの上に立ったジョーイに近づこうと観客が集まるシーンも。曲が終わると、ジョーイは日本語で「アリガトウ」とお辞儀をして去っていった。卓越したラップスキルで魅了したジョーイ・バッドアス。ヒップホップのかっこよさを体現したステージにぐっときた。