栗コーダー&ビューティフルハミングバード
穏やかで、ゆるやかなひと時
インストバンドである栗コーダーカルテットと(リコーダーなど様々な楽器を使用している)、アコースティック・ユニットであるビューティフルハミングバードの5名からなる複合ユニット。昨年秋より共演を重ねてきた彼らが、1日目は木道亭、そして、2日目の土曜にはジプシー・アバロン、苗場食堂と3回出演することに。まずは、1日目の木道亭から。
メンバー5名が一列に並び始まったのは、栗コーダーカルテットの楽曲。“鉄道ワルツ”や“オリオンビール”など、ほのぼのするナンバーを演奏していく。すると、彼らの爽やかな音色と、曇りだけに過ごしやすい気温とがマッチして、ゆる〜い空気感があたり一帯に漂い始めていくのが肌感として伝わってくる。ある意味、何も考えず、ただただ、音に耳を澄ましているような、だけど、心だけは温まっていくような、その感じがとても良い。
「このステキな場所の雰囲気に合う、ステキな映画音楽を2曲続けてお届けします」と、栗コーダーカルテットの関島岳郎の一声で始まったのが、映画『ジョーズ』のメイン・テーマ曲と、映画『スターウォーズ』から“帝国のマーチ”。本来はともに迫力のある楽曲ではあるけれど、木道亭のテーマに合わせてアレンジを。だから…なんというか、思いにもよらぬほど、あくまでかわいらしく…。というところで、クスクスと観客から笑みが込み上げていく。
そして、リコーダー4本に加え、ビューティフルハミングバードの田畑伸明のアコ—スティック・ギターが加わったヴァージョンで、テレビ『ピタゴラスイッチ – キッズワールド』〈NHK Eテレ〉のオープニング・テーマ曲を演奏。いつの間にか耳に馴染んでいる楽曲だけに、聴いていると、その心地よさを実感させられるようだった。
この後は、小池光子の歌が入り、“カントリー・ロード”、ビューティフルハミングバードの“旅人”、“ウメボシジンセイ”を。あたりを見渡すと、子どもと大人が寄り添いながら、そのサウンドに、その歌に浸っていくシーンが目に入っていく。楽曲が進行する度に、穏やか度が増しているのだろう。また、ビューティフルハミングバードの小池光子の歌は、ふんわりしていて、柔らかく包まれていく感じがあり、フジロック本番1日目ということで、少々気持ちが高ぶっていたけれど、それをほぐしてくれるようで、なんとも良かった。
「静かな音を耳にすると、風が吹いている感じとか結構分かるようになりますね」。そんな小池のMCの後は、そろそろ終盤に。イギリスの古い楽曲やビューティフルハミングバードの“somebody’s calling you”などを演奏し、最後まで木道亭の緩やかな空間に合わせたセットを届けてくれた。まだこのフジロック期間中に2回、ステージを行なう彼らだが、ステージの雰囲気に合わせて選曲を変えていくそうだ。そちらもぜひチェックを。