Manic Sheep
気だるい朝にぴったりのノイズ
早いもので、フジロックも最終日。楽しい時間はほんとあっという間に過ぎ去ってしまう。最終日のレッドマーキーの1発目を務めるのは、昨年のROOKIE A GO-GOステージに出演し(昨年のレポートはこちらをどうぞ)、人気投票の結果堂々の第一位に輝いた、台湾のバンドのマニック・シープだ。昨年のステージ観た人たちがやたら「イイ!」とツイートしていて(厳密には「フロントマンのクリスが可愛い!」とのツイートなのだが)、気になっていたバンドである。
バンドが開演時刻に登場。昨年は3ピースだったが、今年はベースの女の子が加入したようだ(昨年はクリスがベースを担当していた)。バンドが一斉に手にする愛器でノイズを出力し、クリスが美メロを囁く。晴れ渡り、気だるい今朝にぴったりの音のシャワーを浴びせてくれる。
囁くボーカルと、うつむき加減に淡々と演奏するバンド。影響が明らかな90年代初頭の英国シューゲイザー・バンド勢のマナーに忠実だ。彼らが奏でる音とステージに染まる藍色の照明とが相まって、空間に幻想的な雰囲気を醸成している。一部に紺色のアクセントが入ったメンバーの衣装も統一感があって実にクールだ。
「またフジロックに出演できて嬉しいっ!」とクリス。あまりに早く戻ってくることができて内心驚いているようだ。そして「Tシャツを、メンバーがそれぞれのスーツケースに入れて持ってきたのよ。CDは買わなくてもいいから、Tシャツは買ってね!」と冗談を言い可愛らしく微笑む。
クリスが「最後の曲です」と伝え、「この曲は、5年以上前に書いた曲なので、たまに演奏するのがうんざりすることがあるの。これまでにたくさん演奏してきたからね。でも、この曲で私達のことをみんなに知ってもらえたから感謝もしてるのよ」とMCを入れ”La La La”を披露した。大音量のフィードバック・ノイズが心地よく会場に響き渡る。終演後、クリスとバンドはフロアのみんなと一緒に写真を撮って、感謝の意を示してにこやかにステージを後にした。