WHITE STAGE 7/24 SUN TAGS : LIVE REPORT 7/24 SUN WHITE STAGE

BABYMETAL

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LIVE REPORT

初フジロックにして、伝説の予感

フジロック最終日のホワイトステージは、ベビーメタル(以下ベビメタ)が出るから絶対に混むと当初から予想されていた。何と朝っぱらからステージ前方をファンと思われる人たちが陣取っているとの情報が飛び込んできたり、出演予定時刻の数時間前から入場規制がかかるんじゃないかというほどの混み具合だと別のスタッフから連絡を受け、早々に会場入りをすることにした。

到着すると、確かに超満員状態で端のアヴァロンとグリーンステージへ向かう通路のみかろうじて空間があるような状態だった。ロバート・グラスパーとそのバンドがニルヴァーナの超名曲”Smells Like Teen Spirit”のカバーを披露し会場を盛り上げていた。ロバート・グラスパーのステージが終わるとベビメタTシャツ姿のファンがステージ前方にどんどん押し寄せていく。自分も押し寄せる流れに乗り、かなり前方まで流れ着くことができた。

開演前20分前くらいに何と神バンド本人たち4人がステージに姿を見せ、サウンドチェックをするという。既にしっかりとコーパス・ペイントを施し、白装束を着用し登場した。”あわだまフィーバー”のワンコーラスを2回ほどかました。ツーバスがズシズシと耳と身体に迫ってくる。やっぱりホワイトは音がいいなぁ。早めに会場入りして良かった。得をした気分だ。

開演10前になると、雨がポツポツ来て肌寒くなってきたが、フロアの期待と熱気は尋常じゃない。ベビメタの旗を振り回したファンが「We are!」「BABYMETAL!!」のコール&レスポンスを叫んだりしているのだ。開演2分前になるととうとう本格的に降ってきた。ベビメタの三人の中に雨女がいるに違いない。フロアから「BABYMETAL!!」と両手を突き出しな大歓声が飛ぶ!もう待ちきれないって感じだ。

開演時刻になると「Metal Resistance Episode IV:Reincarnation(転生)」の映像が流れ、神バンドが一斉に”BABYMETAL DEATH”のリフとビートをザクザク刻む。この時点で人がドッと前方に押し寄せ、「BABYMETAL DEATH」コールに「Oi!, Oi!!」と叫び返す。満を持して
SU-METAL、YUI-METAL、MOA-METALがゆっくりと登場し、キツネサインを掲げて頭を左右にフリフリしはじめると、フロアにはモッシュの嵐が巻き起こり、熱狂の渦と化す。続いていきなり”ギミチョコ!!”を投下するものだから、フロアの熱が更にアゲっていく。少しYUI-METAL、MOA-METALの可愛らしい「ズキューン!」「ドキューン!」が聞こえづらかったが、SU-METALのどこまでものびやかな声がホワイトステージ全域に轟いた。

ベビメタのバックをがっちり支える凄腕のミュージシャンの神バンドのメンバーそれぞれのソロタイムに突入。まずは大神さんとの愛称をもつ大村孝佳が舌を突き出し、クリス・インペリテリ並みの速弾きを披露。お次はベースのBOHが、6弦ベースを自在に繰り出し会場を沸かせる。ドリーム・シアターのジョン・マイアングを思わせるほどのテクニカルなプレイだ。ラストはジューダス・プリーストの”Painkiller”の冒頭のようなドラムビートをドカドカと打ちだす。そのまま「ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!」とフロアを煽りながら3人がステージ戻って来て「かくれんぼの歌」こと”Catch me if you can”へとなだれ込む。3人が軽やかにスキップする姿が愛らしい。SU-METALが「Are you ready!? Fujirooook! Show me bigger circle!!」とサークルピットを促すのだ。あまりサークルを作れていなかったようで「見えてるよー!」と指先をクルクル回してでかいサークルを作るよう指示を出す。どうやらSU-METAL、Sっ気がありそうだ。

お次は”ヤバッ!”だ。間奏部で激重な音を繰り出す神バンドもすごいが、3人もキレッキレのダンスを披露しオーディエンスを沸かせる。「どうして人々はお互いを傷つけ合うの? 誰を何のために傷つけるの?」というメッセージ性の強い映像が流れた。この映像がどこに帰結するのか集ったファンはもちろん知っている。「ウォール・オブ・デス」と表示されると。映像が終わると”イジメ、ダメ、ゼッタイ”がはじまり、オーディエンス自ら率先して合戦の如く左右に分かれる。ステージ中央は尋常じゃないモッシュで大荒れだ。ペットボトルをはじめ色々ものが宙に飛びまくり、砂嵐が巻き起こる。自分が楽しむのは大いに結構だが、ベビメタファンには幼い子や女子もいるのだということをもう少し考えてほしい。

個人的なハイライトは”KARATE”だ。リフがめちゃめちゃかかっこいい。ポジティブな意が込められたフックがあって力強く「走れー!」とSU-METALのどこまでも伸びやかな声も最強だ。映像が流れ、ロードオブメタルレジスタンスと映し出される。高らかに法螺貝の音が響き、ベビメタの旗を3人が掲げ、本セットのラスト”Road of Resistance”を披露した。最後は、お決まりの「We are!」「BABYMETAL!!」のコール&レスポンスを何度もやって、キツネサインをみんなで掲げてステージを後にした。

とにかく終始異様なほど盛り上がったライヴだった。少なくともフジロックにこれまでにない異質なライヴを繰り広げ、印象づけた。今夜のライヴはフジロックの数あるライヴの中でも後々まで語り継がれていくようなもののひとつになる予感がする。ベビメタはフジロックであれ、世界のどこかの会場であれ、仮にそこでアウェーであったとしても自分の世界にオーディエンスを巻き込み盛り上げることができる。今の地位を手にしたのは、ベビメタの3人や神バンドのメンバー、関係者の全員が自らのパフォーマンスに対して非常にストイックで向上心があり、プロフェッショナルに徹してきたからこその結果と言えるのではないだろうか。

セットリスト(原文のまま)
BABYMETAL DEATH
ギミチョコ!!
Catch me if you can
ヤバッ!
イジメ、ダメ、ゼッタイ
メギツネ
KARATE
Road of Resistance

Text by 三浦孝文 Posted on 2016.7.25 19:15