Gateballers
夢か現実か?不思議な空間に酔いしれる
2日目最後のルーキーは、濱野夏椰(Vo.Gt)、本村拓磨(Ba)、久富奈良(Dr)から成る3ピースバンド、Gateballers。ファーストフルアルバム『Lemon songs』は元andymoriの小山田壮平を中心とした新レーベル・Sparkling Recordsから発売。タワーレコードの「タワレコメン」に選出されるなど、あらゆる角度から注目されているバンドである。
まずステージに現れた瞬間の、その独特な雰囲気にやられる。長い髪にワンピースの濱野は、一見性別が分からないくらいの中性的な存在だし、スキンヘッドにサングラスな本村、顔を隠すほど長く前髪を伸ばした久富。それぞれベクトルが違う個性だが、衝突することもなくひとつの空間を作り上げている。
セッションののち、キレのよいギターが心地よい“end roll”、ドープな反復音が耳にじんじんとしみる“バグダッドカフェ”へ。音楽性としてはガレージ、シティポップなどあらゆるジャンルを少しずつつまんで混ぜ合わせたような、複合的なもの。彼らを一言で言い表すのは難しいけど、ズバリ「酩酊」だろうか?お祭り感と終末感を同居したような、ドリーミングな空間。ここは夢か現実か。全然酔っていないのに、酔ってしまったかのようにぼーっとしてしまう。あえて近いものを挙げるとすれば、踊ってばかりの国だろうか。実際、下津光史とバンド・CORN HEADSを結成するなど、音楽性の共通点を持っているのかもしれない。
また“レモンソング”で感じるのは、艶やかでちょっと妖しい歌声の魅力。卑屈っぽい歌い回しで観客に隙を見せないのだが、時折濱野本人の素直さが垣間見える感じがして、むしろいい。
メンバーそれぞれの不思議な魅力と、ジャンルに富んだ音楽性。どっちも最高だけど、一個でも掛け違えるとバラバラなバンドになってしまう。けれど彼らは、そこを絶妙に保っているのがまたすごいところ。Gateballersとは、一体何者なのか。答えが出ないもどかしさを抱えつつ、その不思議な魅力に、ベロベロに酔っ払った夜だった。