DENIMS
5年越しの物語が、今再び動き出す
さっきまでトータス松本や、八代亜紀が歌っていたホットな苗場食堂に登場したのはDENIMS。ジーンズ+カッターシャツまたはTシャツみたいな、比較的ゆったりした服装で現れた4人は、初登場にも関わらず緊張した顔もせず、次々とダンスナンバーを叩き込んでいく。
実は彼ら、前身となるバンド・AWAYOKUBAで2011年にルーキー入りした過去があり、5年かけてここまでたどり着いたのだった。今や関西シーンで期待の高い彼らは、「今日出演のワンダフルボーイズさんや金佑龍さんにも大変お世話になってきた」とMCで語るなど、次なる世代へのバトンを受け継いできたという意識も明確に持っているようだった。
彼らの音楽はカントリーやシティポップとかに例えられるのだろうけど、「流行りの音楽」で済まされない細かいテクニック、踊らせ上手な部分はライブで発揮される何よりの魅力。“Alternative”でぐっと観客を引き寄せ、ゆるゆるとした“DAME NA OTONA”、早弾きで早口な“わかってるでしょ”とバラエティ豊かに盛りあげていくし、終盤にかけてはメンバーも観客もジャンプ、ハンズアップでひたすらお祭り騒ぎ。掛け声ひとつとってもキャッチーだし、すぐ歌えて、聴く人を選ばない。演奏もバランスがいいし、とくにベースは生き生きとしていて、とてもうまい。ここまで条件が揃っていれば、最高なのも間違いない!
結論として、彼らのフジロック2016はここで完結させるべきじゃなった!5年越しの苗場という夢や、シーンを先導する物語性がとてつもないこと。楽曲の質が高く、いずれも難しいことなしで踊れること。小さなステージで放たれたあの存在感のデカさは忘れられない。終演後、後を去る観客から聞こえた「DENIMS、覚えておこう」「最高に気持ちよかった」との声が何よりの証拠だ。次は、大きなステージで会いたい。