RED MARQUEE 7/24 SUN TAGS : LIVE REPORT 7/24 SUN RED MARQUEE

SOICHI TERADA

LIVE REPORT

お茶目なベテラーノ

バッキバキでローの効いたダンスミュージックに疲れたら、キュートかつエレガントなハウスはいかが?とSUNDAY SESSIONが画策したかはわからないが、最終日のレッドをEYEからバトンタッチしたのは、80年代に日本のハウスの黎明期を支えた寺田創一。登場早々、マイクパフォーマンスで一気に楽しいベクトルに持って行く。

「皆さんこんばんは。今日はレッドマーキーの深夜に回せてとても嬉しいです!」とストレートに感謝を述べて、本格的にセットが始まる、1曲めは”Saturday Love Sunday”。オランダの老舗レーベル「Rush Hour」所属のHuneeの選曲による再発をきっかけに再評価された『Sound from the Far East』からの楽曲がメインになりそうな気配。

映像にはその時プレイしている曲名をキーボードの上に乗せてカメラで映すと言うアナログな手法も彼の音楽同様、ヒューマンパワーに満ちていて可愛らしい。また森高千里をフィーチャリングした” 百見顔(Hyamikao)”もプレイ。ポップさとソリッドさのバランスがちょうどいい。

“Purple Haze”ではジミヘンのリフもエディットされ、なんとステージに上がって踊りながらエアギターの身振りもするこのベテランならではのエンタテイメント性にまた笑顔になってしまう。深夜のレッドは電気グルーヴ流れの人や、まだまだ余力のある若いオーディエンスも多いのだが、このアップデートされつつ30年以上サバイブしてきたディープハウスに、皆、自分の好きなスタイルで踊っている。なんというか気楽にフロアに入っていける優しさが彼のハウスミュージックにはある。

最後にはいろんな土地でDJをしたい旨と、いろんな土地の民謡を自身の音楽とミックスしたいとMCで話し、早速ここ新潟の民謡を歌いながらトラックに乗せて披露してくれた。女性ボーカルをフィーチャーすることにかけては安定の寺田印!なので、この試みもほとんど違和感がない。アグレッシヴなビートもいいが、踊りながらも思わず笑ってしまう(それも一人ででも)。

スターDJ/プロデューサーと言うより、親しみやすいダンスミュージックの先生のようなお茶目な存在感とアクトに明るい歓声があがった。

Text by 石角友香 Posted on 2016.7.25 03:45