LEE “SCRATCH” PERRY
意味不明?何言ってやがる!これがリー“スクラッチ”ペリーが織りなす宇宙だよ!
フジロック初日も18時を回り、陽も落ち涼しくなってきた。会場に到着すると、笠をかぶった出で立ちのバックバンド(ドラムを除き)がサウンドチェックをしている。出音されるぶっといビートに思わず身体を揺らしロックするオーディエンス。開演時刻が近づくに連れ、どんどんレゲエファンと思われる人達が会場に押し寄せてくるのだ。
無理もない。”生ける伝説”、リー“スクラッチ”ペリーが登場するのだから。かのボブ・マーリーのお師匠さんにして、伝説のスタジオ、ブラック・ アークで数々の大名盤の数々をこの世にドロップしてきた偉大なプロデューサーだ。今年の3月に80歳を迎えてますます増長する御大のクレイジネスを目撃しないなんてただのモグリ。
ステージにずらっと並べられたロウソクに次々と火を灯していくスタッフさんたち。これで準備は万端だ。火はリー・ペリーにゃ必須だからな!(一瞬、ステージをお焚き上げするつもりか!と思ってしまったよ)ステージ中央にはお香もモクモクと焚かれ、これから醸成されるであろうマジカルな雰囲気が既に漂っている。
開演時刻丁度にバンドメンバーが登場し、キーボード奏者の「ジャー・ラスタファーライ!」との掛け声とともに、一斉にダビーな音を出力する。主役の登場前からステージ前は揺れまくるクラウドでギッシリだ。2曲目に移行してもスクラッチのエコーがかった声だけが響き渡り、一向に登場する気配なくオーディエンスを焦らす。
ようやくステージ脇から何やらブツブツとつぶやきながら御大が登場!「Hello! How ya do do do…」と手を挙げ集ったオーディエンスに挨拶した。深紅の髪に髭、バッチやら色々と異物をつけまくってきらびやかに光るキャップ、将軍然とした黒のコート、胸元からお腹にかけてジャラジャラとぶら下げられたアクセサリー。まんまイメージ通りの出で立ちに、フロアから暖かい爆笑が放たれる。
マックス・ロメオの”Chase The Devil”で有名なリディムが響きわたる。その上を、リー・ペリーがチャイナがどうのジャパニーズがどうのと好き勝手にトーストをかます。それにしても響き渡るこの声量は何だ!?これほんとに80歳の声かよ??
“War In Babylon”のリディムをバックに、オーディエンスに手拍子を促すべく「クラップ」て言葉だけでトーストする。何て自由に演じているのだろう。そして何度もカップに手を伸ばし、「ジャパニーズ!サケ、サケ!!」と嬉しそうに掲げるのだ(あのカップの中身はポン酒か?)。それにしても、きらめく照明がまぶしい。御大全身のキラキラ光る装飾からの照り返しがあるから特に。
終盤になると、眠たく目をとじて体を揺らす人や、会場を後にする人が散見される。意味不明なトースティングに、仕草に愛想をつかした感じかい?ざけんな!これこそがリー“スクラッチ”ペリーの宇宙なんだよ。からっぽになって音のフロウにただただ、乗っかればいいだけ。そうすれば、極上のレゲエビートとともに「Fly away!! I love in you!!!」て愛であふれかえった言葉が耳に入ってくるから。
宙にパンチし、キックし、手をひらひらして「バタフラ~イ!」と叫び、最後の最後まで御大のおもむくままに我々を自分の宇宙にいざなってくれた。こんなにも幸せな場に居合わせられて、感謝以外の感情が浮かんでこない。ありがとう!
セットリスト(原文のまま)
SUPER APE
CROKEING LIZARD
HAPY BIRTHDAY
WAR INA BABYLON
TO BE YOUR LOVER
CRAYZY WAE
SUN IS SHINING
JAH LIVE