RED MARQUEE 7/23 SAT TAGS : LIVE REPORT 7/23 SAT RED MARQUEE

大森靖子

LIVE REPORT

感情をさらけ出すポイズン少女ワールド

2日目の午後は雲が出てきて気温が上がらない。冷たい風を避けるようにレッドマーキーにやってくると、ステージ前に集まった観客が見守るなか開始時間ギリギリまでサウンドチェックが行われていた。バンドメンバーに囲まれて、これから登場するシンガーソングライター大森靖子本人もいる。タオルをかぶり、音を確かめるように体を揺らしていたが、そのうちマイクのスイッチが入り、サウンドチェックなのに本番さながらのパフォーマンスが始まった。Bump Of Chikenの“天体観測”だ。レッドマーキーに集まった観客のテンションが一気に上がる。大森はひとしきり歌うと、一旦ステージから去った。

スクリーンに大森靖子の文字が映し出されると、大森は大きな白旗を掲げて一人で登場した。そして、のっけからものすごい気迫で“さようなら”をアカペラで歌い出した。時に声を震わせながら感情を吐き出すように歌う。その迫力に体がゾクっとした。激情派と呼ばれる大森が体現する世界観に一気に引き込まれてしまった。壮大なアレンジの効いた“ピンクメトセトラ”から続けて歌った“ミッドナイト清純異性交遊”では、ギターを置いてステージ前方のスピーカーの上に立つ。拳を突き上げた大森に近寄ろうと、観客がぐっと前に押しかけ、一緒に拳を突き上げた。大森は笑顔を見せ、熱唱しながら中指を突き立てていた。一見可愛い少女的なルックスから繰り出される毒気が効いたパフォーマンス。面白くて目が離せない。

“新宿”でギタリストと掛け合いながら歌ったり、“絶対彼女”では観客を煽って歌わせたり、はたまた“少女3号”ではギターをかきならしたり。スカートをひらひらさせながら、自分を観客にぶつけるように一語一語に力を込める。ラストの“音楽を捨てよ、そして音楽へ”では「音楽は魔法ではない」と絶叫。マイクを観客に渡して歌わせる場面もあった。大森のライヴはもはやパフォーマンス・アートの域だなと思った。それだけ圧倒される表現力だった。大森は最後に再び白旗を掲げてから、ステージに下ろしそのまま深々とお辞儀。レッドマーキーに沸き起こった大歓声が、そのパワフルなステージのすべてを物語っていた。

セットリスト(原文のまま)

1 さようなら(アカペラ)
2 PINK(弾語り)
3 マジックミラー
4 ピンクメトセラ
5 ミッドナイト清純異性交遊
6 新宿
7 絶対彼女
8 少女3号
9 TOKYO BLACK HOLE
10 音楽を捨てよ、そして音楽へ

Text by Paula Posted on 2016.7.23 17:22