RED MARQUEE 7/22 FRI TAGS : LIVE REPORT 7/22 FRI RED MARQUEE

COURTNEY BARNETT

LIVE REPORT

今をときめく才女、苗場に登場!

レッドマーキーが次出演アーティストを待ちわびる人でごった返している。それもそのはず。デビューアルバムが世界中の各誌で軒並み大絶賛され、グラミー賞「最優秀新人賞」にノミネートされたオーストラリアの才女、コートニー・バーネットが登場するのだから。昨年10月の初来日公演も大盛況だったこともあり、オーディエンスの大きな期待感に会場が包まれているのだ。

会場に流れていたデヴィッド・ボウイの”I Wish You Would“がフェードアウトし、ザ・ジュリー・ルーインの”Oh Come On“が大音量で鳴り響くと、フロアからの大歓声とともにコートニーとバンドが登場した。コートニーはいつも通り、すっぴんで上下黒で統一したシンプルなスタイルだ(Tシャツの”BAD SEED”に込められた含意が気になる…)。身にまとっているものがシンプルだからこそ、コートニーが持つ自然な強いオーラが際立って感じられる。発される言葉、そして音楽も同様だ。

音源で聴くよりも歪みまくったフレーズが印象的だった”Dead Fox”で幕開けした。待ちわびていたオーディエンスが一斉に体を揺らすものだから、フロア一帯の温度がグッと上がる。アルバムの中でも比較的キャッチーな佳曲”Debbie Downer”では、頭を振り乱してサビを歌い上げ、ストラトをお得意のフィンガーピッキングで引き倒す。”Small Poppies”ではサビをハスキーにがなり立てるわ、アンプ近くでギターをハウリングさせてノイズを撒き散らすわで、彼女が表現するすべてが圧倒的な迫力をもって迫ってくる。

照明とスクリーンが青に灯り、投げかけられたのが”Depreston”。“憂鬱(Depression)”とメルボルン郊外の町の”プレストン(Preston)”を掛け合わせた造語だ。ブルーなコートニーの心情をステージ全体で表現している。”Small Poppies”と打って変わってこの曲ではか細く物憂げに歌い上げる。その類まれな作詞の才能で創り上げた曲の持つニュアンスをしっかりと捉え、聴き手に伝わる表現をしているのだ。

“Pedestrian at Best”のヘヴィなリフが会場に響くと、フロアから大歓声が上がった。サビの部分でフロアのみんなが宙を指差し、飛び跳ねる。狂気ほとばしるコートニーのギターとピタリとはまるサイケなバックの映像といい、会場のムンムンの熱気といい、本ステージのハイライトと言えるだろう。

ギターから放たれた不協和音から”Elevator Operator”、ダンディー・ウォーホールズの“Lance”にインスパイアされた”Lance Jr”、流れるようなビートで進む”Avant Gardener”とほとんどMCなしで矢継早に楽曲を繰り出してくる。”Avant Gardener”における間奏部とラストのギター・ソロがめちゃめちゃかっこよかった。ギタリストのロールモデルとして憧れているというジミヘンを思わせるほどのファズっぷりで魅せてくれた。ラストはガレージ色の強いノリノリなロックンロールナンバー”Nobody Really Cares If You Don’t Go to the Party”を投下して大円団で締めくくった。

終始一貫してまったく気負いのないスタンスで、嘘偽りの一切ない表現をする。これぞロックンロールと呼ぶべきステージだった。

-Setlist- *ライターメモ
Dead Fox
Scotty Says
Debbie Downer
An Illustration of Loneliness (Sleepless in New York)
Small Poppies
Depreston
Three Packs a day
Pedestrian at Best
Elevator Operator
Lance Jr
Avant Gardener
Nobody Really Cares If You Don’t Go to the Party

Text by 三浦孝文 Posted on 2016.7.22 23:41