LA GOSSA SORDA
最後の勇姿を目に焼き付けろ!
快晴の中はじまった、記念すべき20回目のフジロック!肌がチリチリと痛くなるような陽射しの中、ホワイトステージの1発目を飾るのは、情熱の国、スペインはバレンシアからやってきた、ラ・ゴッサ・ソルダだ。結成17年目を迎え、バレンシア伝統楽器ドルサイーナの音が特徴的な、唯一無二のスカパンクを繰り出す彼ら。何と、フジのステージを解散することが決定しているのだ。その勇姿を一目見ようと、開演時間が近づくにつれ、多くのオーディエンスが詰めかけて来る。
ホワイトステージのMCによるフジロック20周年のお祝いと、注意事項をアナウンスが終わるや否や、重厚なシンセ音が創り出す宇宙を浮遊するようなサウンドが流れ、心臓の鼓動音にサイレンが轟き、計7名のバンドが登場した。バンドが一斉に音を出力し”Aire”でステージの幕が切って落とされた!ジョセップ、アレクサンドレにペレの3人のボーカルが登場し、「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」とアジテートしオーディエンスを盛り上げれば、ステージ前方中央にのっけからスカダンスと「Oi!, Oi!」コールの嵐が巻き起こるのだ。
「コンニチハー!フジロック!!」と叫び、地中海風の怪しげなギターフレーズを奏で、”De Cara A La Paret”を投下した。軽妙にスカビートが刻まれ、オーディエンスはたまらずモッシュの嵐で砂埃が上げまくる。間奏部でエドゥーが叩き出す軽快なパーカッションに身体を揺らさないものは誰ひとりいない。オーディエンスにウェーブを促しはじまった、ソルダ流レゲエチューンの”Babaloco”へとなだれ込む。テーマをブロウするトロンボーンとトランペットが耳に心地よく響く。腹にズシっとくる、ぶっといジョルディのベースがフロアに横揺れのグルーヴを醸成している。
ボーカルのペレがドルサイーナを手に吹きまくる”La Veu Trencada”以降が彼らのライヴの真骨頂だ。バグパイプに似た音色のドルサイーナの音は涙腺を緩ませる。随所に「戦争法案、反対!」、「戦争反対!」と端的な日本語で思いを主張しつつも、ただただオーディエンスをゴキゲンな音で盛り上げジャンプさせるのだ。主張も”みんなをピースフルに楽しく踊らせてこそ”という彼らのスタンスを見て取れた気がした。それに呼応してかフロアにはサークル・ピットが何度も出来上がり、みんなで肩を組み、クルクル回る。こんなに最高なライヴを繰り広げるバンドなのに今日を最後に解散してしまうなんて…残念で仕方がない。
最後の最後まで魂の込められた渾身のステージで魅せてくれた(終演後、メンバーが涙を浮かべていたようだ)。彼らは今夜、クリスタル・パレス・テントに再登場する。これが正真正銘最後のステージとなる。観逃し厳禁だ!
セットリスト(原文のまま)
Aire
De Cara A La Paret
Babaloco
La Veu Trencada
La Nostra Sort
Camals Mullats
Calitja
Entre Canuts
La Polseguera
Farem Sao