踊ってばかりの国
アシッドとポップの融合サウンド、ヘヴンとの親和性高し!
朝いちのヘヴンには「踊ってばかりの国」ファンと、一見のリスナー、そしてヘヴンでゆったり休んでいるお客さん、それぞれが朝いちということでゆるい雰囲気で集まっている。彼らが前回出演した2010年のルーキーのステージのシチュエーションとはまた異なる、いろいろなタイプのファンがいる。そんなヘヴンのステージで、彼らがどんなパフォーマンスを見せるのか。そして、ヘヴンでどういう風に彼らの曲が聞こえ、どんな映え方をするのか?そんなことが気になり、今回はサウンド的側面から見ることにした。
朝とはいえ、日差しが強く暑いなか、踊ってばかりの国のメンバー4人がステージに登場する。ライヴは“世界が見たい”からスタートし、途中歌詞を「苗場を泳ぎたかっただけなのに」と変えて歌うなど、フジロックの空間をオーディエンスと共有し合える空気が作られた出だしとなった。「踊ってばかりの国へようこそ!最後まで踊っていってくれー!」という下津光史(ヴォーカル/ギター)のかけ声とともに、次の曲“風と共に去りぬ”が始まる。サードアルバムに象徴されるメロディアス・ポップなこのナンバーは、ゆるいグルーヴ感とそのキャッチーさも相まって、オーディエンスの躍る体を止まらせない。そして、終止穏やかな空気感で進んでいったライヴは、“SEBULBA”、“言葉が出ない”という流れで、ラストへ向かって加速していった。ラストは彼らの真骨頂である、サイケデリックなナンバー“OK”をブルージーに決めて終演を迎えた。
ライヴ全編から感じたのは、デビュー時のアシッドフォーク的なある種のアクの強さと、よりシンプルでキャッチーなメロディが、程よいバランスで混ざり合い、今の日本のロックシーンにはあまりない音になったなということ。そのサウンドプロダクションは、日本に現存する何かのバンド、というより、現在のUSインディーのフラットなポップ感に近いもの。今後彼らがどんな変化を遂げていくのか、そして次のアルバム、次のライブのときにどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみになった。そんなライヴだった。
【セットリスト】
世界が見たい
風と共に去りぬ
Surfer Song
!!!
話はない
Boy
SEBULBA
言葉も出ない
OK