LIVE REPORT - FIELD OF HEAVEN 7/26 FRI
こんなに多様性のあるフェスはフジロックだけ!【フジロック1日目まとめ】
Posted on 2024.7.27 12:26
フェスの主催者は、限られたスケジュールと予算の中で自分たちの方針に沿って会場づくりやタイムテーブルを作っていく。それが雑誌のようだと気づいたのが、日本のある巨大フェスを運営している人だったのだろう。お客さんは主催者から提示されたものを自分の感覚と耳と足を使って、自ら構成していく。そうしてできあがったものは、お客さんそれぞれが作ったフジロックで、カップルや親子などで終始同じ行動をした人以外はそれぞれのフジロックは違う体験になっている。もし、全部同じ行動をして同じものを観たとしても感想は違うことだってあるわけだし、3万人の人がいたら3万通りのフジロック1日目がある。
フジロック1日目、自分はフィールド・オブ・ヘヴンの渋さ知らズオーケストラから始まった。フジロックの魂というべきこの音楽集団を求めている人はこんなに多いのかとヘヴンを埋め尽くした。フジロックに登場した20数年前にあった「アングラ・ジャズ」の色よりも、ハードでロックなギターが鳴るようになっていったのはフェス出演を重ねて進化していったということなんだろう。終わるとお客さんからは「これぞフジロック」という声が聞かれた。
ホワイトステージに移動するとLucky Kilimanjaroが始まるところだった。バンドから、ホワイトステージにいるお客さんたちから伝わってくるリア充な感じ。バンドは楽しく踊らせることに特化したような音楽をこれでもかっていうくらい繰りだしてきた。打ち込みらしき音をベースにしながらドラムとパーカッションでリズムを強化している曲もあったし、ギターの松崎浩二は演奏よりも煽ることに専念していることもあった。ヴォーカルの熊木幸丸はさすがの盛り上げ上手。灼熱の真っ昼間の時間帯だったけど、なんとなく気持ちのいい微風が吹いてきていた。
Lucky Kilimanjaroが終わると、ところ天国にある青空寄席では浪曲師の玉川太福が始まるところだった。演芸好きの人が推していたのでちょうどいいタイミングだったので観ることにした。マイクを使用していたけど圧倒的な声量と物語る力でアウェイのお客さんも惹きつけていく。機材トラブルでマイクが切れていたところも笑いに転じる対応力、ちょっとづつフジロックで採取したと思われる小ネタもはさんで語られる江戸時代の侠客・平手造酒(ひらてみき)の話は「もっと聞きたい!」と思わせたところで時間となって残念だった。物語を聞いて逆に(?)ビールが飲みたくなった。
グリーンステージのFRIKOは、アメリカのインディロックの旗手で荒々しいギターサウンドとドラマティックな曲調が特徴。特にラストの“Where We’ve Been”の切なさから壮大に展開していき盛り上がっていくのは圧倒された。11月には来日するので楽しみである。
苗場食堂では25年ぶりの出演となったWINOに涙した。このバンドの復活を待っていた人がこれだけいるのだ。
レッドマーキーではTHE SPELLBOUND。ブンブン・サテライツの遺産も守りながら前進していく姿が今回も感じられて素晴らしかった。強力なビートとノイジーなギターのウォール・オブ・サウンドはいつも圧倒される。
ホワイトステージに移動してiri。俳優の川口春奈を思わせるiriには「可愛い~」という声も飛んでいたけど、音楽はおしゃれでかっこよくて上手かった。そして芯の強さを感じさせる。R&B~ヒップホップ、ジャズあたりを自在に取り入れてオシャレなものとして提示してるのは能力の高さは初見の人でも伝わったのでは。ホワイトステージが埋まっていたのもうなづける。
グリーンステージではAwichがやっている裏で苗場食堂では曇ヶ原だった。「プログレッシブ・ハード・フォーク」を標榜する彼らはニッチな音楽性なので、苗場でも希少種な人たちが集まっていた。しかし、1970年代の4畳半フォークに1970年代のブリティッシュロックが合体した彼らの熱い演奏は、お客さんも圧倒し熱狂を引きずり出した。
グリーンステージのヘッドライナーはTHE KILLERS。すっかり王道中の王道のロックバンドとなった彼らのエンタメ溢れるステージはすごかった。日本で人気ないっていってたの誰なんだよ? こんなにたくさんの人たちが踊って歌って盛り上がっているじゃないか。
レッドマーキーを超満員にした電気グルーヴ。なぜかワム!の「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」でジョージ・マイケルが着ていた「CHOOSE LIFE」と書かれたシャツをピエール瀧が着ていた。ノンストップのダンスは息もつかせないグルーヴ地獄。ヒットした曲は割とやって最後は“富士山”で終わる完璧なエンターテイメントショウ。
ジャンルごった煮のジャズ、リア充なダンス、浪曲、アメリカのインディロック、25年ぶりに復活した98年世代のロック、デジタルとハードなギターが融合したロック、おしゃれなR&B、プログレッシブハードフォーク、アメリカの王道ロックバンド、日本のテクノの元祖……これだけ多様性のある音楽が1日で聴けるのはフジロックだけ! そしてまだ1日目!