2日目のルーキー・ア・ゴー・ゴー、最初に登場したのは、台湾発のエレクトロ・パンク・バンドであるgo chic(ゴー・シック)だった。ギター/キーボードのソニア、ヴォーカルのアリエル、ベースのサラが女の子。ドラムスのウィンストンが男の子である。まだ若く20代前半らしいけど、サラあたりは女子高生にもみえる。
アリエルはセクシーかつキュートなコスチュームに身を包み、元気よく踊り歌う。歌詞は全編英語で、MCは覚えたての日本語をちょっとだけ話すけど、基本的には英語。エレクトロといってもチープなシンセサイザーで、攻撃的なギター、そして疾走感あるドラムと組み合わさって、パンキッシュな世界を作り出す。先行するバンドたちのどこかに似ているような気がするけど、おそらくアリエルが発するキュートな存在感がこのバンドの個性になっている。踊りはセクシーで、モニタースピーカーの上に妖しく跨ったりして扇情的なもの。歌っているときはパンク魂が底にある挑戦的な表情をするけれども、MCのときに不意に素に戻ってしまうギャップがまたかわいい。
ステージ前にはお客さんはけっこう集まってきていて、やっぱり女の子+パンクという要素は一見さんを引っ張りこむインパクトがある。このバンドを支えているのは、いろんな楽器をこなすソニアと力強いドラミングをおこなうウィンストンなんだということがわかる。アリエルは最後、柵を取っ払って、お客さんたちの中にどんどん入ってって踊るのだ。母国以外でもこうしたはじけ方ができるのだから、チャンスがこれからたくさんあるバンドだろう。
写真:穂谷益代
文:イケダノブユキ