快速東京というバンド名よりは、奇天烈混沌超速特急ともいうべき新人が苗場に嵐を巻き起こした。この4人組は、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというシンプルな4人編成の若者で、スラッシュメタルを旨みとして十二分に取り入れた激烈激速のハードコア、というかパンクというべきか、そんな感じの音楽をやっている。
特徴としてはとにかく切れ味抜群のリフと速さで全部まとめてぶったぎることだろうか。若者らしく活きのいい演奏で、坂道だろうが曲がり角だろうがとにかく目標物に向かって走っていく。それも感情むき出しで荒削りなところがまたよい。出鱈目というかユニークというかそんな歌詞をハイトーンで絶叫する歌い手も印象的で、楽曲の混沌具合はさらに深まっていく。楽曲を1~2分台にまとめあげているのも特徴で、やりたい放題に詰め込んでいる感じなんだが、楽曲として確かなインパクトを聴き手に残してくれる。すべてを巻き込むハリケーンのような、そんな強烈さが存在するように思えるのだ。
4つ打ちを取り入れた横殴りの曲やヘヴィなミドルチューンも顔を出していたことはあったが、ほとんどがスラッシュ寄りの速さを持つ曲ばかりなところは本当にいさぎ良い。それで全15曲で約20分のステージを駆け抜けていた。たしかに快速なのかしれないのだが、15曲で20分って逆にこれは各駅停車じゃないかなと思ったりという疑念も浮かんだり(笑)。それでもこのステージでとにかく強烈なインパクトを残していたのは、盛り上がり具合を見ればよくわかる。「帰ったらgoogleで検索してみてください」という去り際のお願いにも応えてくれる人が多いのではないだろうか。そんな予感を覚える強烈なステージであった。今年見たルーキーの中では、かなり異彩を放っていたことも述べておきたい。
写真:穂谷益代
文:伊藤卓也