「誰がマンボに”ウッ!!”をつけた」
そう疑問を投げかけていたのは吾妻光良&Swinging Boppersであったか。いやーしかし、そうは言っても。やっぱりマンボに「ウッ!!」は必要でしょう! 「ウッ!!」の無いマンボなど、クリ○プを入れないコーヒーのようなもの……え? ブラックでいい? だまらっしゃい!
フジロック会場における最奥地、ストーンド・サークルに隣接する新しい小屋が「キャバレーフィエスタ・ハバナナイト」。小ぶりな建物ながら、中は陽気な空気でいっぱい。しかも午後になるとこの場所に、さらに陽気な楽団が現れた。
「なんでロックフェスティバルなのにマンボを聴きに来たんだぁ~~ばかやろぉ~~」
現れたのは「着ぐるみですか!?」と聞きたくなるほどに「マンボ」なルックスのパーカッション二人とニクいMIXを入れてくるDJの三人組、「東京パノラママンボボーイズ」。客席から見て右側のパーカッション、パラダイス山元の「ウッ!!」の一言で、怒涛のリズムが繰り出され始めた。うわーこりゃ踊り出さずにいられない。
「DJのコモエスタ八重樫は、今年で御年111歳! 日本発のミイラDJ!」
とにかくパラダイス山本の繰り出すMCは、ライター殺しのキワッキワな時事ネタ満載、でお客さんは抱腹絶倒……なんだけど、とても文章に書けない、あああ(笑)。
フジロック開催期間中、エクスプレスのサイトにあるツイッターで、彼らについてのつぶやきや画像を見かけた方も多いのではないだろうか。実はこれ、前日のライヴ中に彼らがお客さんに呼びかけた「公開サクラ」の人々による仕業であったようだ。
「演ってる方も動いてて、撮ってる方も動いてて、みんな写真ボケボケなんですよね。今日は三人、固定しますので! グリーンステージからたくさんお客さんを呼ぼうじゃないですか!」
パラダイス山本がそう言うと、ステージ上の三人が集まってポーズをキめ、客席大笑いの中、いきなり携帯カメラ撮影会に突入。お客さんもよく知ったもので、「最後正面お願いしまーす。」なんて、上手に彼らのネタに乗っかって来るではないか。
演奏中盤、パラダイス山元に「危険人物です!」と紹介されて、テレンス・リーと呼ばれるゲストボーカルが現れた。白いランニングにGパン姿、「誰なんだあんた!?」感満載のボーカルによって、なんともマンボでモンドな昭和歌謡”ダイナマイトマンボ”が演奏される。テレンス・リーの熱唱中、ケーサツの方々がステージをのぞきに来たとか来ないとか(ないない)。
この日は特別に、さらにフジロックのお客さんを癒すべく、「オーモーレツ!」的なセクスィーダンサー、ミス・キャバレーもスペシャル・ゲストとして登場した。妖艶なラテンのリズムに、えっちょっとそんな! 的なミス・キャバレーの悩殺パフォーマンス。森とマンボとヌード! この瞬間に居合わせたお客さん、きっと得しましたね。
本編最後、踊り狂うお客さんに必殺の”パチンコ”が披露されると、さらにアンコールが起こった。「アァァァァァッ、ウッ!!」の声とともに、再び客席はマンボ・ビートのるつぼに。来年の苗場に向けて、お客さんと渾身の「ウッ!!」をキメると、マンボボーイズは、こう言って去って行った。
「来年の、フジ・マンボ・フェスティバルで、またお逢いしましょうー!!」
来年の苗場は、きっと「フジ・マンボ・フェスティバル」に改名だ!
写真:横山正人
文:小田葉子